「助産師ボクサー」のWBC女子世界ライトフライ級王者富樫直美(35=ワタナベ)が日本の女子最多防衛回数を更新した。メキシコ・グアダラハラで2日(日本時間3日)、同級1位サンチェス(メキシコ)に判定3-0で勝利。5度目の防衛に成功した。富樫の戦績は日本ボクシングコミッション(JBC)公認後で7勝(3KO)1分け。

 アウェーの重圧も関係なかった。「笑っちゃうぐらい」のブーイングの中、開始から積極的に前に出てジャッジ1人が8ポイント差の完勝。WBC女子アトム級王者小関桃(青木)と並びV4が最多だった記録を自ら更新し、2度目の海外防衛も成功。それでも「いっぱいいっぱいでした」とコメントは控えめだった。

 27歳でダイエットのためにボクシングを始め、助産師との二足のわらじを履く。「両立は大変。人の生命を扱うから」。不幸に直面したこともある。それでも「何回お産をとっても満足することはないんです」と向上心は尽きない。ボクシングも同じ。「今しかできないから後悔したくない」。この試合に向けて月8日の休みも使い、1回5000円の低酸素トレーニングで約1500メートルという高地での試合対策を積んだ。「勝てて良かった。毎試合ベストを尽くして勝っていくだけ」。休む間もなく、6日には夜勤に復帰する。