WBO世界バンタム級王者・亀田和毅(22=亀田)が、激闘を物語る「傷痕」を明かした。4日、同級王者パウルス・アンブンダ(32=ナミビア)を判定で下したフィリピン・セブ市から、一家そろって帰国。関係者や居合わせた旅行客から、大拍手を浴びながら到着した。祝福ムードの中、和毅は試合2日前から39度の発熱を起こし、左こめかみ付近が円形脱毛症になっていたことを明かした。

 ゲートから出てきた時も、和毅は両目がくぼみ、顔色も悪いまま。先月30日の調印式前、体温を測ると39度を超えていたという。同31日の計量後は、医師の勧めで病院に行き、点滴を受けたほど。「今でも痛いが、喉がやられた。声が出なかったのはそのせい。40度近くまでいったけれど、オレの一番大事な試合。やらなあかんと思った」と試合翌日まで家族にも隠していた。この日も熱が下がらず、会見も早めに切り上げ、用意された豪華リムジン型ハマー車で帰宅した。

 WBA世界同級王者の長兄興毅(26)は「俺たちに心配させんように隠して戦ったんや」と感慨深げ。9月3日にIBF世界スーパーフライ級王座決定戦を控える次兄大毅(24)は「すごい重圧だと思う。俺が最後(末っ子)でなくて良かった。最高の形でバトンがきた」と気を引き締めた。

 和毅のV1戦は、19勝(11KO)無敗のWBO世界バンタム級1位ランディ・カバジェロ(22=米国)になる可能性がある。まだ本調子でないが「世界で亀田和毅の名前を売れるように。ラスベガスでビッグマッチがしたい」と強い志を口にした。【藤中栄二】