WBA世界フライ級1位の亀田興毅(21)が6月にもメキシコで、協栄ジム離脱後、初の試合を行うことが11日、分かった。新たな所属先の決定まで東日本協会への「仮所属」を希望するが、異例の事態だけに調整の難航は必至。17日、メキシコでの世界スーパーフライ級王座統一戦での出場オファーには応じられなかったが、所属先がなく国内で試合ができない現状から、現地での試合実現を狙う。この日、大毅(19)とともに同地へ出発した本人も、海外デビューへの強い意欲を示した。

 とにかく試合がしたい。協栄ジムから離脱したことで、亀田は海外のリングには自由に立てる。この日、所属先が決まるまで拠点とするメキシコに出発した。出発前の会見では「ボクシングのリングは海外にもある。試合ができるところに行くだけ」と現地でのデビューを望んだ。

 所属先のない現状では国内のリングに立てない。今後は「亀田ジム」設立へ動くが、準備には時間が必要になる。当面は「東日本協会所属」を希望し、すでに同協会に要望書を提出。同協会は12日の理事会で検討するが、過去に例のないケースのため、慎重に議論する。話し合いが長期化し、所属先が宙に浮く可能性もあるだけに、海外での試合準備を進める。

 WBAとWBCの世界スーパーフライ級王座統一戦(17日、メキシコ・ドゥランゴ州)のアンダーカードでの出場オファーを受けていた。だが、離脱騒動の予想以上の長期化で、出場断念を余儀なくされた。目標は年内の世界挑戦。「6月には試合がしたいな」と昨年の反則騒動でのブランクを克服するためにも、できるだけ多くの実戦を希望する。

 海外での試合は国内以上に厳しい。環境の違いなどで、減量などの調整も簡単ではない。だが、昨年から何度も訪れ、アマ大会に出場する三男和毅も滞在するメキシコには愛着もあり、不安はない。「和毅も1人でやってるし、オレができないわけがない。ボクシング人生は1回しかない。当たって砕けろの気持ちで、これからもやっていく」。亀田がメキシコで新たな1歩を刻む。【田口潤】