幕内松鳳山(31=二所ノ関)は悩みに悩んだ末、「気」を今年の漢字に選んだ。「やっぱり、気持ちの持ちようが変わった。気合の入った相撲が取れるようになって、気迫が伝わるようになりました」。

松鳳山は「気」を今年の漢字に選んだ
松鳳山は「気」を今年の漢字に選んだ

 4場所ぶり幕内に戻った地元福岡の九州場所では、豪快な取り口で白星を重ねて自己最高の12勝。千秋楽まで優勝争いを繰り広げ、敢闘賞を受賞した。締めくくりは完璧-。と言いたいところだが、ほろ苦い1年間だったことは否めない。

 東前頭8枚目だった春場所では初日から13連敗を喫し、十両へ陥落。さらに2場所連続で負け越し、窮地に立たされた。「いろいろ考え込んだときもありましたから」。持ち味の押し相撲にこだわりすぎて自分を見失っていた。そこで「内容よりも、勝つ相撲を」と方針転換。効果はすぐにあらわれ、西十両6枚目だった秋場所では13勝2敗で優勝し、見事に返り咲いた。

 辛酸もなめたが、そこから得た経験があったからこそ今がある。来年初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)では幕内上位まで番付が上がるが「心技体で一番大事なのは『心』。あらためて、そう思いましたね」と振り返った。筋肉質でパワフルな体、少年時代から機械いじりなどで体得した器用さ。そこに心も加わった。気持ちの乗ったまま迎える来年は、自己最高位小結の更新を狙う。【桑原亮】