大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が、全勝横綱を引きずり下ろした。

 鶴竜(31=井筒)を豪快な右の小手投げでねじ伏せて、2敗を守った。「自分の相撲が取れました」と、涼しい顔で話した。

 負ければ優勝の望みが絶たれる一番。強烈な左のおっつけで崩すと、相手の突き、押しに下がっても上体は崩れない。左を差し、相手の巻き替えに乗じて前に出る。小手投げを見舞った後は、宙に浮く鶴竜の体を押しつぶすように勝負を決めた。力の差を見せつけるようだった。

 これで優勝争いに踏みとどまった。12日目は横綱3連戦の最後となる日馬富士戦。自力優勝の目こそないが、初めての賜杯をあきらめてはいない。「力を出し切ってやるだけです」と力を込めた。