AKB48の45枚目シングル(8月31日発売)の選抜メンバーを決める第8回AKB48選抜総選挙の開票イベントが18日、ハードオフエコスタジアム新潟で行われ、HKT48指原莉乃(23)が1位に輝き、昨年に続き連覇を達成した。24万3011票を獲得し、2位のAKB48渡辺麻友(22)に6万7398票の大差をつけた。連覇は前田敦子(24)大島優子(27)でも達成できなかった史上初の快挙。へたれキャラの指原は「私も3回目の1位。どうか、どうか私を1位として認めてください」と訴えた。

 指原の涙ながらの訴えが、5年前の前田敦子の姿に重なった。

 「1つだけお願いがあります。私もこの1位で3回目の1位になります。どうか、どうか私を1位として認めてください!」

 前田の名言「1つだけお願いがあります。私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください!」と、同じ意味が込められていた。指原は正統派ではないと自覚している。「私はスキャンダルで仕事が増えて、スキャンダル成り金と思われてもおかしくない。あっちゃんや優子ちゃんや麻友とは違って、企画ものと思われてもおかしくない。自分でもそう思っています。たたけばほこりしか出てきません」。

 271人が羨望(せんぼう)する深紅のマントを羽織っても「どうか私に心からのおめでとうをお願いします」と請うた。寂しげな笑みでごまかそうとしても涙は止まらず、両手で顔を隠した。「いつか、みんなみたいにおめでとうと言ってもらえる1位になりたいと思っていました」。孤独だった本音があふれ出た。

 投票期間中は、対抗馬渡辺の速報1位に沸いた。大本命故のヒール扱いに、心が折れかけた。そんな時に唯一、気持ちを理解してくれたのが初代女王の前田だった。絶対エースであるが故に、指原同様にアンチファンを多く背負った先輩から「私はさっしーに勝ってほしい」と励まされた。前日17日も直接対面し「先におめでとうと言っておくね」と背中を押されていた。総選挙終了直後には「あっさん(あっちゃん)からボイスメッセージだ!」と祝福の言葉ももらった。「あっちゃんが私を支えてくれたんです」と言い、声が漏れてくるスマートフォンを大切そうに胸に抱いた。

 舞台上では、弱音だけでなくライバルへの本音も初めて明かした。3年連続で1位を争った渡辺に「普段は恥ずかしくて言ったことなかったけれど、私はずっとライバルはいないと言っていたけれど、私にとって最高のライバルは麻友です。これからも、また国民的アイドルグループと呼ばれるようになれるよう一緒に頑張っていきましょう」と言葉をかけた。そんな指原には、昨年の地元福岡のヤフオクドームですら聞けなかった、3万人の指原コールが聞こえてきた。「認めてもらった」瞬間だった。

 最後は笑顔で「新聞記者の皆さん、明日の1面見出しは『3万人のファンが指原の連覇を祝福!』で、お願いしま~す!」と叫んだ。孤独に打ち勝ち、ヒールのぬれぎぬを破り去る圧勝劇だった。【瀬津真也】