今年6月のAKB48選抜総選挙12位の河西智美(21)が17日、グループ卒業を発表した。東京ドームシティホールで行われた「第2回AKB48紅白対抗歌合戦」で電撃表明した。今後はソロ歌手として活動を続けていきたいという。この日で増田有華(21)も卒業。絶対的エースだった前田敦子(21)の卒業で揺れた2012年のグループ最後のイベントで、さらに世代交代が進んだ。

 河西が、アンコール場面に1人で舞台に登場すると客席からどよめきが起こった。JRA競馬の上半期G1予想「ガチ馬」で万馬券を2回的中させて優勝。そのご褒美として出せることになった、26日発売のソロデビュー曲「まさか」を披露するためだと分かると、ファンも1度は落ち着いた。しかし河西の目はみるみる潤んでいく。様子が違う。「ここで私からもう1つ、『まさか』の発表をさせていただきます…。私、河西智美はAKB48を卒業します」。突然の重大発表に会場はキツネにつままれたように一瞬の静寂。そして再びどよめきと驚きの声が飛び交った。

 この日、突然決めた結論だった。同じ2期生で総選挙順位も1つ上の11位宮沢佐江(22)は、8月に上海のSNH48移籍を決断。やはり2期生の増田は、主演ミュージカルで新たな夢を見つけてこの日に卒業した。世代交代が進むAKB48から、同期たちが次々と巣立っていく姿を見送りながら、自分の進路も考え続けていた。そんな中で、自分もソロデビューのチャンスが舞い込んだ。「ここで卒業するのがベストタイミング」と、まさにひらめきの決断だった。秋元康総合プロデューサー(54)にも、イベント直前に相談したほどに電撃的だった。

 河西が最も憧れていた同僚が、前田だった。その前田と同じように、当日に舞台に立った瞬間の自分の感覚に判断を任せて、そして卒業を選んだ。「ソロデビューも決まり、歌手としての道に行きたいなと思い、これからは自分でチャンスをつかめればと思っています」。卒業日は未定。また1人、グループ創成期からの人気メンバーが、制服を脱ぐ。【瀬津真也】

 ◆河西智美(かさい・ともみ)1991年(平3)11月16日、東京都生まれ。愛称「とも~み」「チユウ」。06年にAKB48の2期生オーディションに合格、チームK結成と同時にデビュー。10年チームBに移籍、今年11月からチームA。今春の「ガチ馬」では2週連続で3連複万馬券を的中させ優勝。ソロデビューを勝ち取った。血液型A。