東日本大震災から丸2年となった11日、AKB48グループのメンバーが被災地10カ所を訪れ、各地でライブを行った。大島優子(24)らは岩手・大槌町で中学生ら300人と交流を深め、宮城・多賀城市では被災地出身の岩田華怜(14)が今後も力になりたいと気持ちをあらたにした。東京・秋葉原をはじめAKB48、SKE48、NMB48、HKT48の各グループも、それぞれの劇場で特別公演を行った。

 2年前、地元仙台市で被災したAKB48岩田は、震災当日を思い出しながら歌った。多賀城市は仙台市に隣接する地元同然の場所。午後5時開始の復興支援ライブに「『今ごろ、避難した車の中に父といた』とか『多賀城は2年前どうだったのか』と考えながら歌ってました」。指原莉乃に「誰の番かな?」と、自分の話す順番を忘れてしまうほど、頭の中は震災当日のことでいっぱいだった。

 AKB48グループで唯一の被災地出身。震災前にオーディションに合格していたが、震災直後は上京をためらった。それでも「一個人でいるよりAKB48に入った方が復興支援の力になれる」と決心。同グループの復興支援活動「誰かのためにプロジェクト」では4度も被災地ライブを実施するまでに成長した。

 この日は多賀城市内の仮設住宅で避難生活を送る被災者約100人も招待された。ライブを行った多賀城中グラウンドにある仮設住宅で夫と2人暮らしの大場枝美子さん(36)は、昨年1月の同所でのライブより「笑えました」と話した。「仮設でも友人ができたからだと思う。この前は7、8人で山形に旅行に行きました」。これを伝え聞いた岩田は「目に見えない復興も少しずつ進んでいると思う。皆さんの笑顔のために私たちは全力でお手伝いしたい」と誓った。

 上京前、地元友人に「神7」メンバーを連れて行くと約束した。昨年3月、渡辺麻友、板野友美と同県名取市へ行った。今回は小嶋陽菜、指原らと歌った。「私が連れてきたわけではないけど皆さんと故郷に来られて良かった。震災直後には考えられなかったから」。地元の仲間の笑顔を見て、少しだけ地元孝行ができた。【三須一紀】