SKE48松井玲奈(21)は、7位でも満足していなかった。第5回AKB48選抜総選挙で悲願の「神7入り」を果たしたが、開票イベント後のメディア露出の低さに一般的な知名度のなさも実感した。今日17日リリースされるSKE48の新曲「美しい稲妻」ではシリアスな表情で歌い踊っているが、個人で目指すのはアイドルの枠を超えた絶対的な存在。本音を日刊スポーツに独白した。

 「第7位

 SKE48チームE

 松井玲奈」。6月8日、日産スタジアム(横浜市)で行われたAKB48総選挙開票イベントで名前を呼ばれ、涙を流した。悲願の「神7入り」。ファンへの感謝を述べ、素直に喜べた。だが、翌日には別の思いがこみ上げていた。

 「一般的に見た時に、『どうして小嶋(陽菜)さんの方が下なの』とか、『たかみなの上に、知らない子がいる』って感じた人が、絶対にいたと思うんです。有名な方々の上に行けたのはうれしいんですけど、この選挙であらためて、自分に一番足りないのは知名度だなって感じました」

 きっかけは、各メディアの反応だった。ともにSKE48を引っ張る松井珠理奈(16)も6位に躍進し、「W松井、初の神7入り」と報じられたが、個人での露出時間は限られていた。

 「一番感じたのは、(開票の)次の日の朝。テレビとか新聞とか、総選挙で持ちきりだったのに、大きく取り上げられるのは、他のメンバーだったり…。やっぱり私は、多くの人にまだ知られてないんだなって思いました」

 2008年(平20)の結成時からSKE48をけん引し、SKE48全シングルで選抜入り。グループが拠点を置く名古屋では絶対的な人気を誇るが、全国放送のレギュラー番組を多く持ち、数多くのCMに出演するAKB48の中心メンバーに比べ、「知名度が足りない」と受け止めざるを得ない。一方で、SKE48は昨年NHK紅白歌合戦に初めて単独出場。今年1月発売の「チョコの奴隷」が累計売り上げ60万枚を超えるなど、勢いを加速している。半年ぶりのシングルリリースとなる新曲「美しい稲妻」については、「今まで歌ってきたアイドルソングとは違って、かっこいい曲ですよ」とアピールする。

 「みんなが真剣な表情で歌っていて、シリアスな雰囲気。MV(ミュージックビデオ)では、水着の上に、狩猟民族っぽい感じで、パレオを巻いたような格好で踊っています。砂浜で、がに股になったり、蹴るモーションもあったり。“チラリズム”もありますよ」

 MVでは、海岸の岩場で切なげな表情を披露している。夢は女優。1つのシーンにも全力で取り組んだ。それも、知名度を高めるためのアピールという。

 「1つ1つのお仕事で、絶対に何か結果を残して、顔を覚えてもらえるようになりたいです。この曲をきっかけに、少しでも私たちのことを知ってくれる人が増えたらいいです。ファンの方の中には、学校とか会社とかで、私が好きだってことを隠している人もいると思うんですよ。だから、もっといろいろな人に知ってもらいたい。日常会話の中で、アイドルファンじゃない人が『松井玲奈って子、かわいいね』って言ってくれたら、ファンの人もうれしいじゃないですか。『その子、俺は何年も前から応援してたぜ』みたいな(笑い)」

 今となれば、「神7」入りは1つの通過点。「AKB48グループ」や「アイドル」の枠を超えた絶対的な存在になるべく、少しずつ歩みを進める。【横山慧】

 ◆松井玲奈(まつい・れな)1991年(平3)7月27日、愛知県生まれ。08年10月にSKE48劇場公演デビュー。好きな言葉は「日々鍛錬」。好物は辛いものとメロンパンとオムライス。剣道3級。愛称は「れな」。血液型O。