松竹の人気映画シリーズの最終作「釣りバカ日誌

 ファイナル」(朝原雄三監督、12月26日公開)の最終カットの撮影が東京・大泉の東映撮影所で行われた。22年間続いた人気喜劇シリーズも今回で幕を下ろす。いつもは明るい主演の西田敏行(61)もスタッフからの拍手を浴びると感極まって涙をあふれさせた。出番がないにもかかわらず撮影所に駆けつけた三国連太郎(86)も感慨にふけっていた。

 最終カットは西田演じるハマちゃんの自宅リビングの場面。西田のコミカルな表情をとらえた映像のチェックが終わると「はい、OKです!

 我らがハマちゃん、全シーン終了です!」とスタッフの声が響いた。「ハマちゃん、ハマちゃん…」。どこからともなく始まった「ハマちゃんコール」。西田は照れながらも全スタッフに聞こえるような大声で「みんなと一緒に22年間やり抜いた、作り続けたという感慨はひとしおです!」。笑い声が絶えないことで知られる「釣りバカ」の現場に初めてスタッフのすすり泣きが響いた。14作目の出演となる妻役浅田美代子(53)も号泣した。

 三国は前日5日に出番は終わっていたが、撮影所に足を運んだ。最終カットをモニター越しに見届けると座ったまま黙って大きくうなずいていた。

 西田はあいさつに立つと目をみるみる潤ませた。「いろんな映画があっていい」。涙があふれ出した。「本当に楽しい映画、家族そろってみんなで映画館に行ける映画をこれからも作り続けてください」。

 かつて喜劇シリーズは各社が競い合うようにいくつもあった。「釣りバカ」はその最後のとりでだった。軽妙な笑いに社会風刺を織り交ぜた作風は累計2300万人の観客に愛された。西田は「父や母に連れられて見た映画で自然に情操が育った。そういう娯楽映画を作り続けてほしいなあ」。

 第1作目のファーストカットの撮影は88年10月25日、都内のデパートの屋上だった。三国は当時の西田の印象を「かれんな青年で初々しかった」とやさしく笑って話した。西田も三国から「君の芝居は何でも受け止めるから」と言われたが「剛速球をどんどん投げてきたのは三国さんでした」と秘話を明かして笑った。三国は最後に「(西田とは)いつかまた会うような因縁がありそうでね」と西田を見つめてまた笑った。