<映画大賞:主演女優賞>

 松たか子(32)が映画「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(根岸吉太郎監督)で日刊スポーツ映画賞主演女優賞を初受賞した。浮気な作家の夫を支える妻を好演した松は「うれしいご褒美。幸せな気持ちで今年を締めくくれます」と素直に喜んだ。05年には兄の市川染五郎(36)が主演男優賞を受賞しており、きょうだい受賞となった。

 受賞は事務所から連絡を受けた母藤間紀子さんからの「おめでとう」メールで知った。「とてもうれしいです。1年前に映画の撮影は終わり、公開もされている中で、自分としては一区切りついたところでいただいた、うれしいご褒美。ご一緒した皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」。

 家庭を顧みず、身持ちの悪い作家の夫大谷(浅野忠信)を誠実に支える妻佐知を演じた。「映画が実現するまで時間がかかったんですが、田中陽造さんの脚本は夫婦、男女の関係がじっくり書かれていて、面白いなと思いました。大谷だけでなく、佐知も変わった女性。これまでの自分にない役だったので感情過多にならずにできたかな。私って、せっかちな方だけれど、この映画は時間をかけて実を結んだ。焦らなくてもいいのかなと思いました」。

 一昨年にギタリスト佐橋佳幸氏と結婚し、松も妻になった。「受賞も喜んでくれたんですが、映画も『出てくる人がみんなうまくて、風ぼうがあってるね』って面白がってくれました」。日刊スポーツ映画大賞では初の受賞だが、兄の染五郎は一足早く05年に「阿修羅城の瞳」「蝉しぐれ」で主演男優賞を受けている。初のきょうだい受賞となり「そうなんですか。兄にも連絡しなくちゃいけないですね」。年末まで新作映画「告白」の撮影があり、年明けにコンサートツアーが始まる。「改めて映画の面白さを感じました。ちょっと自分に自信を持てたし、新しいことにも挑戦していければと思います」。

 モントリオール世界映画祭で根岸監督が最優秀監督賞を受賞したが、松も佐知役で山路ふみ子賞などを受賞し今回で「3冠」となった。「幸せな気持ちで今年を締めくくれます」と喜んだが、これから本格化する映画賞レースで、松は総なめの勢いだ。