来年11月のアメリカ大統領選の共和党候補者指名争いに名乗りをあげ、連日メディアを賑わせているドナルド・トランプ氏。全米にホテルやカジノ、ゴルフ場などを所有する不動産王として知られていますが、過激な発言や暴言を繰り返しながらも、絶大な人気を博しているトランプ氏っていったいどんな人物なのでしょう。

 元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手やビル・ゲイツ、ビヨンセ夫妻らが住むマンハッタンの超高級マンション「トランプタワー」をはじめ、ラスベガスにある黄金に光輝く「トランプ・インターナショナル・ホテル・ラスベガス」、ロサンゼルス郊外にある海を一望できるゴルフ場「トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ」などなど、トランプ氏は超有名な不動産物件を多数所有しており、2015年現在の総資産はなんと41億ドル、日本円にするとなんと4900億を超えるといわれています。不動産業のみならず、アメリカではタレントとしても超人気者。自らプロデューサーも兼任するNBCテレビのリアリティー番組「ザ・アプレンティス」に04年から出演して人気となっている他、ドラマや映画、アニメなど様々な媒体に登場。作家としても自己啓発や金もうけに関するビジネス書を多数出版するなど、マルチな活躍をしています。

 しかし、過激な発言や暴言で物議を醸すこともしばしばです。隣国メキシコに対して、「問題のある人間をアメリカに送りこむ強姦犯だ」と語り、不法移民を締め出すために国境に万里の長城を築くと発言。対日本に対しても、「どこかの国が日本を攻撃したら我々は助けないといけないが、我々が攻撃されても日本は助ける必要がない。それが良い協定だと言えるのか」と言及。さらに、「日本はアメリカに何百万台もの自動車を輸出しているが、東京で(アメリカ車の)シボレーを見かけることはないでしょ? 中国や日本、メキシコから雇用とお金を取り戻す」と、過激な発言を繰り返しています。移民排除、差別発言が絶えないトランプ氏ですが、米国が抱える様々な問題に歯に衣着せぬストレートな物言いでタブーにも尻込みしない姿勢が逆に支持され、白人のブルーカラー層から高い支持を得ています。また、人を引き付ける演出に長けており、ライバル候補の携帯電話の番号を嫌がらせで暴露したり、「バカ」呼ばわりするなど、場外での過激なパフォーマンスでもメディアを賑わせています。

 私生活では1977年に、モデルのイヴァナと結婚し、3人の子供をもうけましたが92年に離婚。翌年に女優マーラ・メープルズと再婚して女の子をもうけるも、96年に離婚。2005年に24歳年下のファッションモデルのメラニア・クナウスと再々婚し、翌年には男の子が誕生しています。「世界は自分を中心に回っている」と発言する俺様キャラクター、カツラ説も根強くささやかれる特徴的なヘアースタイルなど、とにかく何もかもが異色。当初はキワモノ候補とみられていましたが、いつの間にか世論調査で共和党候補者トップの支持率を得ています。

 過去4度、破産申告しながらもドン底から毎回這い上がるタフさを持つトランプ氏だけに、今回の選挙戦でも台風の目としてその存在感は日ごとに増しています。このまま支持率を維持して正式な共和党候補となるのか、話題を振りまくだけ振りまいて途中で失速するのか、今後の動きから目が離せません。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)