ディズニーの名作アニメ「美女と野獣」(1991年)の実写版が17日に全米公開され、公開3日間で1億7000万ドルを超える興行を記録する華々しいデビューを飾りました。主演のエマ・ワトソンにとっても、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2011年)を超えるキャリア最高のヒットとなった本作ですが、それ以上に注目を集めているのはディズニー映画史上初めてとなるゲイのキャラクターが登場していること。

 ネタバレになってしまいますが、同性愛キャラクターを演じているのは悪役ガストンの子分ル・フウ。「ル・フウはガストンのようになりたいと願っており、いつの日かガストンにキスをしたいと思っている」とビル・コンドン監督がインタビューで語ったことで、公開前から話題になっていました。ル・フウを演じているのは、「アナと雪の女王」(13年)でオラフの声を務めたことでも知られるジョシュ・ギャッド。「他のディズニー映画にはない素敵なゲイの瞬間があります」とコンドン監督は明かしたことから、どのようなシーンなのか、またギャッドがどのような演技をするのか注目を集めていました。

 ディズニー映画では、「アナと雪の女王」(13年)が実は同性愛をテーマにしているのではないかと言われ、続編ではエルサに女性の恋人を見つけてディズニー史上初のレズビアンのプリンセスにしようという声も高まっていましたが、ディズニー作品ではこれまで同性愛を描くことはタブー視されていました。実際に「美女と野獣」でも、イスラム教徒が多いことから同性愛が禁じられているマレーシアでは問題のシーンがカットされることになり、それが発端でディズニーが同国での上映を中止する措置が取られました。また、ロシアでも鑑賞は16歳以上とすることが決まるなど、同性愛描写が世界中でクローズアップされていますが、果たしてそれはどんなシーンなのでしょう。

 ネタバレになるので詳細は明かしませんが、コンドン監督は「これはすべての人に向けて作った作品」と語っているように、問題のシーンはわずか数十秒と非常に短く、おそらく観客の大半がそのシーンに特段気を留めるようなことはないと思います。そこはやはりディズニー映画なので、素敵なサプライズが満載で、観客を夢の世界へと導いてくれる魔法がちゃんと用意されています。日本では4月21日公開ですが、大人だけでなく子供も一緒に楽しめる作品ですよ。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)