草なぎ剛(46)が主演映画「ミッドナイトスワン」の演技で日本アカデミー賞の主演男優賞を受賞しました。

トランスジェンダーという難しい役を演じきったことが高く評価されての受賞でした。俳優としての草なぎは、舞台での活躍ぶりも注目です。

昨年1月に上演された主演舞台「アルトゥロ・ウイの興隆」も素晴らしかった。ナチス・ドイツのもとから米国に亡命したブレヒトの作品で、ヒトラーが独裁者として権力を握るまでの過程を、米国のギャングの世界に置き換えて描いていました。草なぎは権力者に取り入る狡猾(こうかつ)さ、邪魔になった親友さえも粛清する冷酷さを見事に体現。緩急の演技の切り替えが鮮やかで、ファンク・ミュージックをテンション高く歌いきり、見ている人を扇動するアジテーターぶりも圧巻でした。今年11月に再演が決まっていますが、1年10カ月での再演は異例で、それだけ、この草なぎの舞台を待望する声が多かったのでしょう。

草なぎは主演男優賞を手にした時のスピーチで、稲垣吾郎(47)香取慎吾(44)と「新しい地図」の仲間の名前を挙げましたが、2人ともにこれから舞台が控えています。

稲垣がフランス革命でルイ16世をギロチンにかけた死刑執行人のサンソン役で主演する舞台「サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-」が4月23日から始まります。昨年12月には再演となる舞台「 No. 9-不滅の旋律-」でべートーベン役を熱演しましたが、今回はルイ16世、マリー・アントワネット、ロべスピエールら3000人もの死刑を執行した孤高の男に挑みます。

香取は、4月9日から明治座で1カ月公演に挑みます。初のソロステージとなる「さくら咲く歴史ある明治座で20200101 にわにわわいわい香取慎吾四月特別公演」で、全21公演を予定しています。昨年4月にさいたまスーパーアリーナで開催予定だった「20200429PARTY!」が新型コロナの影響で中止となり、今回の公演が実現しましたが、120年以上の伝統ある劇場で、香取自らが演出も手掛けるそうです。7月には、18年に初演された三谷幸喜作・演出のミュージカル「日本の歴史」に出演します。中井貴一ら7人で60人以上の歴史上の人物を演じるもので、香取は源義経などに扮(ふん)する奮闘公演です。

草なぎ、稲垣、香取ともに40代で俳優として脂の乗り切った時期にあると言えるでしょう。過去に草なぎと香取の2人舞台がありますが、今だからこそ、3人が共演する舞台を期待したくなります。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)