男性4人組グループ「GReeeeN」の軌跡。悩んで、恋をして、やりたいことに気付いて、また悩む。歯医者を目指しながら音楽もやるという筋は一見レアケースだが、悩みも喜びも普遍的なものを描いている。音楽に乗ってすーっと物語に入っていった。

 リーダーHIDEを演じる菅田将暉を始め若手4人が演じるGReeeeNのメンバーが楽しそうなことといったら。クローゼットの中でレコーディングしたり、雑魚寝したり、ケンカしたり。初めてのライブ、名曲が生まれた瞬間など、4人の生き生きとした歌が物語の楽しさをぐんと上げている。

 00年代前半という時代にも心地よい懐かしさがある。ノスタルジックとまではいかないまでも、なじみの物や風景が登場する。MDディスクに、街のCDショップ。MDはプレーヤーごとどこかにいってしまったし、音楽はダウンロード派になった。音楽を聴く、手に入れるってこういう感じだったなあ、と。

 HIDEの兄でプロデューサーJINを演じる松坂桃李もいい。弟の才能を認め、裏方に徹する。悔しさや嫉妬もあるだろうし、いい音楽を見つけた喜びもあるだろう。複雑な気持ちを想像させてくれた。【小林千穂】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)