11日に発売された初の小説の単行本「火花」(文芸春秋)が、すでに3刷25万部のヒットになっているピース又吉直樹(34)が12日、東京・新宿の紀伊国屋書店本店で、ファン300人を集めてサイン本を手渡した。

 お笑い芸人の世界を書いた純文学で、掲載された1月発売の純文学雑誌「文学界」2月号は通常1万部のところ、同誌史上最高の4万部まで増刷された。事前の会見にはテレビカメラ12台、取材陣80人が詰め掛け、又吉は「書店に並んでいるのを見て、メチャメチャうれしいですね。不思議な感じ。母親からは『花火、読んだよ』とメールが来ました。訂正はしてないんですけど、うれしいです」とほほ笑んだ。

 1冊1296円(消費税込み)で、印税を10%で計算すると、25万部ですでに3000万円を手にしている計算。同じお笑い芸人の麒麟(きりん)の田村裕(35)は、07年に自叙伝「ホームレス中学生」が225万部のヒットになり2億円を超える印税を手にしたが、既に使い果たしたという。もっとも、又吉は「僕ら芸人は終身雇用じゃないので、退職金がないので代わりに。老後とか考えると、貯金とかした方がいいんですかね」。そう言いながらも「オルゴールを買いたい。持ってないんで。『エリーゼのために』がいい。癒やされるんで」とシュールなボケも口に話した。

 相棒の綾部祐二(37)については「『読んだ』と言ってますけど、あいつは本が、もともと読めないんで。領収書くらいが限界で、今までに2冊しか読み切った事がないから、おそらく読んでないでしょう。いろいろなところで『2人で書いた』って言っている。なんとか関わろうとしているけど、僕は許可してません」と厳しかった。