19日に肺炎のため89歳で亡くなった人間国宝で落語家の桂米朝さんについて、出身の姫路市、約50年居住した尼崎市が23日、ともに「何らかの形で功績を顕彰したい」とコメントした。

 米朝さんは戦後、十数人だった上方落語家を、現在の250人以上の隆盛に導いた復興の功労者。姫路市は人間国宝に認定された96年に、名誉市民を授与している。

 同市の名誉市民は、「原爆症研究の父」と呼ばれた故都築正男東大名誉教授が最初で、米朝さんを含めて6人いるが、4人は市長経験者だ。それだけに、同市役所は「これまで市葬という形で送りだしてきましたが、米朝さんの場合は市葬というわけにもいかないので、今後、何らかの形で功績を顕彰できるか考えたい」とした。

 この日は、姫路市議会の本会議最終日で、米朝さんの冥福を祈る黙とうで議会を締めた。

 また、尼崎市も96年に同市初の文化功労特別賞を贈っている。尼崎を「落語の町」としてアピールしようと、来年度に「尼崎学生落語選手権(仮題)」開催することを決めたばかり。同市役所は「米朝さんの功績を後世に語り継ぎ、魂を受け継いでいきたい」と話した。

 またこの日午前、米朝さんが「楽」の字を寄贈した天満天神繁昌亭を運営する上方落語協会も総会を行い、黙とうをささげた。

 桂文枝会長(71)は「元気でいらっしゃるだけで大きな心の支えだった。今、盛り上がっている上方落語の灯を失速させないように、皆で力を合わせて頑張っていきましょう」とあいさつした。

 通夜は24日午後6時から、葬儀・告別式は25日午前11時から、大阪府吹田市桃山台5の3の10、千里会館で。喪主は長男の桂米団治(かつら・よねだんじ)。

 葬儀が行われる25日夕には、天満天神繁昌亭昼席でトリを務める孫弟子の桂九雀(36)が米朝さんの出ばやしを使い、追悼のあいさつ。九雀は「師匠を繁昌亭からも送り出したい」と話している。