シンガー・ソングライター秦基博(34)の新曲「水彩の月」が、河瀬直美監督(45)の新作映画「あん」(5月30日公開)の主題歌に決まったことが25日、分かった。昨年のシングル「ひまわりの約束」は、映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌として注目され、大ヒットした。「あん」は国際的な評価も高い河瀬監督の話題作だけに、相乗効果によるヒットも期待される。

 映画「あん」は、どら焼き店の雇われ店長として日々を過ごす男(永瀬正敏)が、かつてその粒あん作りの腕前で店を繁盛させた女性(樹木希林)の足跡をたどりながら、人生を再考していく姿を描いている。

 97年「萌の朱雀」でカンヌ映画祭新人監督賞、07年「殯(もがり)の森」で同映画祭審査員特別大賞を受賞している河瀬監督の新作として、世界的にも注目されている。秦は13年に同監督の出身地、奈良で公演を行った際に同監督と知り合った。その後、親交を深めていた。今回は同監督から直接依頼を受けてこれを快諾。今年1月に試写を見て曲制作を開始した。秦は映画について「街の景色の切り取り方、光、その美しさがすごく印象的でした」といい、曲作りでは、慣れ親しんだアコースティックギターではなく、ピアノを基調としたメロディーを選択。バラード調の新曲「水彩の月」を完成させた。

 昨年は、大切な人を思う切なさを歌った「ひまわりの約束」が主題歌となった映画「STAND BY ME ドラえもん」は興収約84億円の大ヒットを記録。同曲も音楽配信が60万ダウンロードを超え、カラオケランキングも長く上位を維持する人気曲となった。同曲以来のシングル「水彩の月」も「もしも君にもう一度会えるとしたら うまく言えるかな」など切ない歌詞が含まれており、秦の魅力が詰まった1曲となっている。河瀬監督も「誠実な彼の思いは、主人公とも重なってこみ上げるものがありました」と話す。

 映画「STAND-」は「ドラ泣き」のキャッチコピーが印象的だった。今回の「あん」はどら焼き店が舞台。今回も「どら泣き」でヒットとなるか。秦は「『ひまわりの約束』で自分を知ってくださった方たちに、あらためて秦基博の音楽を知っていただく機会が増える年になると思う」と話している。