近藤真彦(50)が35周年記念盤として、初のセルフカバーアルバムを7月19日に発表することが21日、分かった。タイトルは「三十五周年 近藤真彦×伊集院静=二十四曲」。「愚か者」など、作家伊集院静氏(65)が作詞した全24曲を再レコーディングした。完成度を高めるため、曲を聴き込んでレコーディングに臨んだ。

 レコーディングを開始したのは3月末。約2カ月かけて21日に終了した。近藤は「35年いろいろあった分だけ、歌に表情が出てきたんじゃないかな。『愚か者』なんて典型的。50になって、やっと歌えるようになったね」と手応えを口にした。

 伊集院氏とは今も酒を酌み交わす仲だ。80年のデビュー曲「スニーカーぶる~す」のカップリング曲「ホンモク・ラット」の歌詞提供を受けたころから親交を持つ。「おふくろを亡くした22歳の時、悲しいお別れの話をしてくれて『人間なんてそんなもの。出会いもあれば別れもある』と。一番心から励ましてくれた存在でした」。

 日本レコード大賞の新人賞「ギンギラギンにさりげなく」や、大賞に輝いた「愚か者」など、収録リストを見ながらしみじみと言った。「いつも伊集院さんが節目節目に近くにいたよね」。アルバムのタイトルと歌詞カードは、伊集院氏の直筆でつづられている。

 新録アルバムとしては18年ぶり。盟友のギタリスト野村義男ら一流ミュージシャンが一堂に会し、全曲をやり直しがきかない「一発録り」といわれるライブレコーディングで行った。1日平均2曲のペース。「過酷だよ。24曲も。ミュージシャンに何回もやらせるわけにいかないでしょ。過去にこんなに音楽に対して熱心に取り組んだことはないよ」。

 昨年暮れごろから準備を開始した。「チャラチャラ仕事してたらいけないな、という気になっていたからね」。ひたすら楽曲を聴き込んだ。レコーディングの朝は、皇居を2周ランニング。走りながらはもちろん、プールで泳いでいる最中も聴いた。妻と新幹線で移動中に大音量で聴いていたため、音漏れを妻から怒られたこともあった。

 発売日は51歳の誕生日。「完成度がすごく高い。酒でも飲みながら、詞を見ながら聴いてもらえるとうれしいです」。発売同日から伊集院氏が住む仙台で、5年ぶりの全国ツアーも開始する。「伊集院さん、来てください!」。ちゃめっ気たっぷりに呼び掛けた。【近藤由美子】