お笑いコンビ、ピース又吉直樹(35)の小説家デビュー作で、第153回芥川賞を受賞した「火花」が来年、映像化されることが27日、分かった。米動画配信大手「Netflix(ネットフリックス)」から、動画をダウンロードしながら再生できる「ストリーミング」で独占配信。世界に6500万人の会員を持つ同サービスを通じ、又吉の世界観が海を越える。

 又吉の「火花」が日本を飛び出し世界へ配信される。映像化について又吉は「思い入れが強い作品。空気感みたいなものが反映されたらいい」と話していたが今回の展開を「どうなるのか僕も楽しみです。早く見てみたい」と喜んでいる。

 「火花」の映像化に向けては、各映画会社が文字通り、火花を散らして争っていたが、権利を手にしたのは、急成長のネット配信会社だった。関係者によると、又吉が所属する吉本興業は、動画サイトYNNなどを運営するなど、ネット動画配信に興味と可能性を感じており、ネットフリックス社を選んだとみられる。

 実際、ネットフリックスは世界50カ国に6500万人の会員を持つサービスで、来年末までには200カ国・地域に規模を拡大予定。時間や場所に関係なく、パソコンやスマホで利用できることから、「有料オンラインサービスの黒船」と脅威を口にする放送・映画関係者もいる。同社のグレッグ・ピーターズ社長は「日本にたくさんあるストーリーの中でも、以前より又吉直樹さんの『火花』をぜひネットフリックスで映像化したいと思っていた」と明かした。

 吉本興業によると、製作会社、監督、出演者も決まっていない。そんな中、映画「Zアイランド」など5作でメガホンをとった経験のある品川庄司の品川祐(43)が、「又吉大先生に土下座して『火花』をドラマ化する」と公言し、明石家さんま(60)からは、食事会で「主役をやらせてくれや」と直訴されている。権利の争奪戦が終わり、これからは製作、キャスト枠の争奪戦が本格化する。又吉のモテモテぶりは、まだまだ続きそうだ。

 ◆Netflix(ネットフリックス) 1997年に米国で創業された、世界最大級のストリーミング配信会社。オンラインで申し込む、映画やドラマのDVDレンタルで成長。07年にストリーミング配信を開始。世界50カ国で6500万人の会員数。劇場公開された映画の続編など、独自の映像作品を製作し、配信もしている。9月から日本でもサービス開始。