上方落語協会の桂文枝会長(72)は15日、06年に開館させた戦後の上方初の落語定席「天満天神繁昌亭」が丸9年を迎え「(上方落語)四天王の魂を受け継ぐつもりでやってきた」と振り返った。

 上方落語は戦後、はなし家の数が減り、没落寸前だった。故6代目笑福亭松鶴さん、故5代目桂文枝さん、3代目桂春団治と、そして、今年3月に亡くなった桂米朝さんの4人が中心となり、上方落語を復興させ、大所帯へと成長させた。

 「上方四天王」と呼ばれた偉大な先輩たちの時代から悲願であった上方落語の定席を、文枝会長が実現させ、06年に繁昌亭はオープン。米朝さんから「楽」の字を書いてもらい、劇場に掲げ、春団治を赤い人力車に乗せ、付近の天神橋筋商店街を練り歩いた。

 文枝は「あれが9年前とは…」と感慨深げ。大阪で落語だけを上演する劇場はこれまでになく、集客に不安もある中、連日盛況で、10年目へ入っていく。

 ただし、消費増税の影響などから、この日を境に開場以来初めて、入場料を500円値上げ。文枝は「今年は米朝師匠も亡くなられ、いよいよ我々も正念場だなと思っておりました。今日からは、入場料も値上げしましたし、これから試練のときを迎えることになると思います」と気を引き締めた。

 今後は、夜席のさらなる充実など、文枝会長にはさらなる前進のプランもあり、これまでにも、来年9月の丸10年までに「神戸に第2の繁昌亭を作るメドを立てたい」と話してきた。

 その神戸繁昌亭計画については「ゆるやかに進んでいる」とし、協力要請をしている兵庫県、神戸市などとの話を進めている最中だ。候補地は当初の予定通り、新開地が有力だという。