宗教法人「法の華三法行」元代表で、信者への詐欺罪で懲役12年の刑に服した福永法源氏(70)が6日、都内で行われた映画「塀の中の神様」(高橋伴明監督、5月公開)完成披露試写会の舞台に立った。

 席上で「法の華三法行」時代にも行っていた、天の声を伝える“人類救済活動”を再開すると宣言した。

 福永氏は「こんばんは。福永法源です。福永法源と言えば『最高です!』の方が、皆さんだったら、すぐ分かるかも知れませんが」とジョークを飛ばした。その上でこの日が、80年に「キリスト、釈迦(しゃか)に次ぐ最後の救済者、法源をこの世に送り出す。全人類に法(宇宙の法則)の華を咲かせよ」という、天の声を受けた記念日だと明かした。そして昨年9月に東京・東映撮影所で開かれた発表会見では避けた、自身の現状と今後について語った。

 「1月6日は法源誕生の36年目。記念の日に、1日も休まず1分、1秒、24時間、365日…人生を終わるまで、天声をお伝えしていこうと今朝、決意させていただいた。どこまでも人類救済をやらせていただく覚悟でございます」

 福永氏は舞台あいさつ後、記者から発言の真意と「宗教活動では?」と聞かれると「『法の華-』の反省点もある。宗教団体の中にいること自体が誤解を招く。一匹おおかみで、何人だろうと集めて天声をお伝えする。宗教活動と言えば宗教活動」と、個人的に説法を行っていく考えを示唆した。

 自身の半生をドラマとインタビューで構成し、本人役で出演もした今回の映画については「内容うんぬんについて、評論する資格もないし、何も言葉で言えませんが、本当の福永法源、本名の輝義のありのままの姿。この映画を1人でも多くの方に見ていただきたい。映画作りの苦労を生で拝見した。監督、スタッフ、俳優の方は並大抵の苦労じゃない」と絶賛した。

 また、製作する際には(1)絶対に宗教家のPRは避ける(2)後継団体「天華の救済」の布教活動としての映画はやめてほしい、という条件を挙げたと振り返った。

 劇中で福永氏の母を演じた島田陽子(62)は、「映画は社会の断面を鏡のように映す。高橋監督は、とっても引いた、俯瞰(ふかん)から、あったことを写すように描いている。ジャッジメント(決めつけ)はない」と作品の中立性を強調した。

 高橋監督も「『福永法源礼賛映画』などと言われているが、そうした映画を作るつもりは最初からなく、人間・福永法源がどう生きてきたかに興味があった」と語った。

 昨年の製作発表会見では、福永氏に批判的な立場の識者も取材し、生の声も入れる予定とした上で、その候補に被害弁護団の紀藤正樹弁護士の名を挙げたが、取材ができないまま、ひとまず完成を迎えた。

 同監督はさらに「一番ほしかった。もし(取材が)OKになれば、もう1回、時間とお金はかかるが入れたい」と、再編集版の製作にも強い意欲を見せた。