俳優松方弘樹(73)が脳腫瘍の疑いがあるため、長期療養することが23日、分かった。所属事務所が公表した。来月1日から6月8日まで予定していたコンサート出演や6月に予定していた主演舞台も降板する。松方はこれまで大病の経験がなく、ショックを受けているという。

 関係者によると、松方は2月初めから体調不良を訴えていた。「体全体がしびれる」「腕に力が入らない」などの症状があり、今月13日にかかりつけの医院に行き、15日に検査した。16、17日に愛知県、兵庫県で行われたコンサートは出演を見合わせた。17日に「脳に黒い影がある」という検査結果が出た。さらに精密な検査が必要として、18日から別の病院で連日、検査を受けている。その中で「脳腫瘍らしきもの」が見つかり、担当医から「脳腫瘍の可能性がある。長期療養とさらなる検査が必要」と伝えられた。数日後に正式な病名が判明するという。

 このため、松方が所属する「夢グループ」は当面の出演スケジュールを白紙にした。小林旭、千昌夫、黒沢年雄らと共演する「夢コンサート」が3月1日の東京・中野サンプラザ公演を皮切りに6月8日の札幌市民ホール公演まで予定されていた。全国31会場45公演だが、これを全て降板。6月から予定していた主演舞台「遠山の金さんと女ねずみ」は代役を立てず、公演自体を中止する。同舞台は、松方が遠山の金さん、小林幸子が女ねずみを演じ、東京公演を皮切りに3カ月ほどの地方公演も予定していた。

 テレビ界や映画界にも影響が広がっている。関係者によると、今月に入ってからもバラエティー番組収録に数日かけて参加したが、検査入院で収録がストップしている。3月も番組収録のほか、連続ドラマや映画などの収録や撮影も予定していたが、全てキャンセルとなる見込みだ。

 趣味のマグロ釣りでは、昨年5月に沖縄・石垣島周辺で自己最高の361キロのマグロを約6時間半の格闘の末、釣り上げた。体力が必要なマグロ釣りに備え、日ごろから体を鍛え、体調管理にも気を配っていた。過去に大病と縁がなかっただけにショックを受け、夢グループの代表以外は面会をシャットアウトしているという。松方は「1日も早い復帰に向け、今はひとまず治療に専念させていただきたい」とコメントしている。

 ◆松方弘樹(まつかた・ひろき)1942年(昭17)7月23日、東京都生まれ。父は俳優近衛十四郎、弟は俳優目黒祐樹。60年「十七歳の逆襲・暴力をぶっ潰せ」で映画デビュー。「仁義なき戦い」シリーズにも出演。ドラマは「名奉行 遠山の金さん」「HOTEL」など。プロデューサーも兼ねた95年「蔵」で日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞。85年から「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」に出演してバラエティー番組でも人気者に。元モデルと離婚後、79年に仁科亜季子と再婚、仁科克基、仁科仁美をもうけるが、98年に離婚。

 ◆脳腫瘍(のうしゅよう) 頭の骨の内側にできる腫瘍。悪性と良性がある。最初から脳にできた原発性と、他の部位から転移した転移性がある。慢性的な頭痛、頭重感に加え、まひやしびれ、「視野が狭くなる」、ろれつが回らない、言葉がでてこないなどの症状がある。治療法は大きく手術療法、放射線療法、化学療法、免疫療法がある。発症数は人口10万人に15人前後といわれている。