【オースティン(米テキサス州)18日(日本時間19日)=近藤由美子】X JAPANのYOSHIKIが映画と音楽の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト」で行われたドキュメンタリー映画「WE ARE X」プレミア試写に出席した。プライベートもさらけ出した作品として評判を呼び、反響の大きさも体感した。また「ゲスの極み乙女。」のボーカル川谷絵音(27)の不倫騒動には冷静な見解を示した。

 エンドロールが流れると総立ちの拍手が沸き起こった。直後にYOSHIKIが登場すると、歓喜の声が上がった。

 人気ロックバンドのメンバーが素顔をさらけ出した生々しい描写などが、各国の映画関係者に注目されている。解散やメンバーの急死などを乗り越え、バンドが再生する軌跡を描いた。YOSHIKIの全裸姿やYOSHIKIがToshIの洗脳騒動を本人と語り合う場面もある。上映オファーは数十カ国から届き、各国での公開を見込んでいる。YOSHIKIは「海外で着実にファン層が広がっている。幸せですね」と手応えを語った。

 また「この作品はプライベート部分を抜いたら成立しないですから」という。全てをさらけ出した自負があるから、口にできる言葉もある。川谷とベッキー(32)の不倫騒動について聞いた。人気バンドメンバーのスキャンダルだけに「(騒動は)知っています。でも僕は結婚していないから分からない。難しいな」。それでも「いろいろなタイプのミュージシャンがいるしね」と一定の理解は示した。ベッキーは休業に追い込まれたが、川谷は報道陣に口を閉ざし、変わらず音楽活動を続けている。「僕らの職業はファンの人たちに支えられている。ファンを第一に、まずファンが納得する行動であればいいのかな」。

 昨年のNHK紅白歌合戦に同じ白組で出場した。YOSHIKIは「すごくすてきな曲をやっていた。キャッチーなメロディーで才能がある」と実力も認めている。

 当地で開催された若手日本人アーティストが集うイベント「ジャパン・ナイト」にバンド3組がビザの関係で入国できず、YOSHIKIが「同じ日本人としてサポートしないと」と助っ人出演を志願。プレミア試写に続き、ピアノ演奏も行った。そして「力になれることがあれば、なりたいですけど…。才能がある方なので」。厳しい批判も浴びる川谷に対しても、さりげなく気遣いを示した。

 ◆サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW) 87年にインディーズの音楽祭としてスタート。後に映画とインタラクティブ(IT)を加え、世界最大のマルチメディアの祭典に。今では10日間で20万人以上を集める。グラミー賞歌手ノラ・ジョーンズを世に知らしめたことでも有名。YOSHIKIのように主催者から招聘(しょうへい)される公式アーティストは少なく、過去にレディー・ガガも出席。今年はオバマ大統領夫妻も来場。経済効果は約380億円といわれる。