次期朝ドラヒロインの決め手は「ぞうきん縫い」だった?

 10月3日スタートの次期NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」(16年度後期)ヒロインが6日午前、NHK大阪放送局で発表され、14年「花子とアン」にヒロインの親友の娘を演じた芳根京子(よしね・きょうこ)が会見した。

 今月2日に今世紀最高視聴率で放送終了した前作「あさが来た」のヒロインを演じた波瑠と同様に4度目のオーディションで合格した。

 波瑠はオーディションの中で相撲場面の演技でヒロインを射止めたが、芳根は「オーディションで、ぞうきんを縫う芝居がありまして、祖母が洋裁の先生をしていて、遠い世界ではなかったので…はい。良かったと思います」と明かした。

 三鬼一希チーフ・プロデューサー(46)によると、その場面は、アドリブ芝居で「片思いの彼にぞうきんを縫う」設定だった。今作は、刺しゅうや縫い物が大好きなヒロインすみれが、後に子供服専門店を神戸に立ち上げる話で、洋裁の技術面よりも「洋裁、ハサミの使い方がどう様になるか」を確認していたという。

 芳根は「実は緊張のあまり、2~3分、糸が針に通らなかった」と明かしたが、表情の豊かさだけは崩さなかった。その作業に向かう姿勢の好感度が高く、ヒロインへの決め手のひとつになった。

 芳根は15年前期の「まれ」以降、4作連続でオーディションを受けたが、過去2回は1次で落選。今回、2次を通過し、最終面接まで残っただけで「うれしかった」と振り返った。前日5日に「最終オーディションがまたある」と言われ、東京から大阪へ向かい、到着するとヒロイン決定が告げられた。

 「何が起きたのか正直、今でも分からない。すごく夢のようで、いろんなことが起きたので、なんとも不思議な気持ち」

 瞳にはうっすら涙、声を震わせて話した。

 「あさ-」の波瑠も前日に最終面接と告げられ、大阪入りしており、境遇は同じ。“4度目の正直”での合格も同じで、芳根は「縁起がいい…そうですね。確かに(高視聴率ドラマの後を受け)プレッシャーもありますけど、自分ができることを精いっぱい頑張るしかない。(ヒロインの)すみれとして生きられるように頑張ります」と決意を口にした。

 例年、後期作品のヒロインは3月上旬には発表されるが、今年は1カ月ずれ込んだ。これについて、三鬼CPは「1次、2次、最終と手順を踏んだ上で、じっくりと選考した」とし、すでに先月下旬には、芳根のヒロインを決めていたという。ただし、その後、全国ネットの放送で、局内の事務的作業などから、発表のタイミングを見計らい、この時期になったことを説明した。

 芳根をヒロインにした決め手は「たおやかで愛らしく、かわいらしい。同時に心の中に芯のある人。そしてけなげな空気感ですね」と話した。

 東京で生まれ育った芳根は今後、セリフの関西弁や、洋裁のレッスンを経て、例年通り、5月に収録をスタートさせる。