昨年10月から充電期間にあたる「活動小休止」に入っていたシンガー・ソングライター森山直太朗(39)が活動再開することが19日、分かった。約1年半ぶりの新作アルバム「嗚呼」を6月1日に発表する。環境を変えたことで広がった趣味や仕事に対する覚悟など「活動小休止」の半年間を日刊スポーツに語った。

 穏やかな雰囲気は変わらないが、新作について語り出すと力強い言葉が、あふれてくる。「とっつきやすくて懐かしみもあって、何これ? って、理想とする3点セットになったと思います。精神的な部分で言うと、覚悟が違うかな。やるしかないんだって。分からないなら人に聞けばいいし、納得いかなかったら、とことん議論し合えばいい。ある種の踏ん切りがついたかな」。

 山小屋を購入した。台湾などに行った小旅行以外は、ほとんどの時間を、1人山小屋で過ごした。「1回考え方を整理したりと、切り替えたかった。環境から変えないと、というのと、(山小屋を)改築しながら住むという男の子的な憧れ。利害も一致しました」。

 つい見てしまうテレビもない。これまでコンサートは楽しみと不安で、連日徹夜することもあったが、「夜は寂しくて寝るしかないから(笑い)」。歌手デビュー以来、初めて規則正しい生活を送った。

 山小屋の改築に着手すると、インテリア用にボロ布を集め出した。「趣味があまりなくて有名だったので、何かに対してこんなに興味を持つことがあるんだって、自分にビックリしちゃった」。今もレコーディングなどの仕事以外の日は、山小屋生活を続けている。

 周囲から「違うね」と言われ、しまっておいた楽曲にも向き合った。思うままに歌い、親しい人たちに聞いてもらう作業を繰り返した。「本当の感情を吐露しなかったから、そこから時が止まってしまったんだと。整理したり、理解を深めたら、すごく気持ちが楽になって次に進める」。「小休止」について「片付けをしていた感じかもしれない」と振り返った。

 小休止前、やりたいことを聞くと「ないです。何も決まってない」と答えた。周囲からは「自分から始めたものが何もない」と指摘される。おおらかゆえに受動的な一面もあったが、今は興味もどんどん広がっている。取材中、スタッフに「夏に8日間だけ休みをちょうだい。カヌーで下りたい川があるのよ!」と懇願した。「もう、こういう形でのお休みはないですね。意欲的に活動していくと思います」。仕事もプライベートも、アグレッシブに取り組んでいる。【近藤由美子】