4日に決勝が行われた「M-1グランプリ 2016」で優勝した漫才コンビ、銀シャリに翌日、インタビューした。メガネのツッコミ、橋本直(36)と愛嬌たっぷりの鰻和弘(33)は、漫才コンビには珍しく? プライベートでも仲がいいという。橋本は「けんかもしますけどね」。鰻は「橋本の恋愛相談にも乗りますしね」と笑う。橋本は「持ち帰らないってのはありますね。ネタの事はわーって言って、その日に終わらす、みたいな。抱えるものが無いというかね。性格が違うから楽なんですよ」と話す。

 銀シャリと言えば、そろいの青いスーツ。しゃれたファッションで決めたり、ラフな格好も多い最近の漫才界では珍しくなった。あの、やすきよ、横山やすし西川きよしを思い出す。

 橋本は「最初ね、何か、ネタつかみにやっただけなんですよ。私服がダサかったのと、ステージ衣装もダサくてね。もう着替えてるのに『はよ着替えてや!』って支配人に言われたり。『いや、僕もう着替えてるんですよ』みたいなのがあったんですよ。だからその当時はジーパン、Tシャツが流行ってたんですけど」。鰻は「こんな、おそろいの衣装なんか着てる人は、その時代はゼロです」。 橋本は「また、すごい数オーディションされるんで…。やっぱ、目立たなきゃいけないっていうことで。僕が『そろいの衣装にしてみよか?』って。でも、最初は笑われましたよ。これで、爆笑ですから。『何や、それっ』て。先輩も、半分は賛成してましたけど、何やそれ、ふざけてるやろ、みたいな。でも、覚えてもらいやすいし、服も気をつかわんでええし、みたいな」。

 昨年の「M-1」決勝は2位で、3位は同期のジャルジャルだった。今年のジャルジャルは準決勝敗退、敗者復活もならなかった。だが、準決勝では“異次元漫才”とも言える取り組みを見せてくれた。はっきり言って、記者は感動した(笑い)。ジャルジャルは数年前に東京進出を果たし、フジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」のレギュラーなど、全国区の売れっ子になっている。同期に対してあせりはなかったのか。

 銀シャリの2人は「それはなかったですね」と声をそろえる。鰻は「うれしいっていうかね」と笑顔。橋本は「いや、なんかうれしかったですね。コントのジャルジャルと、漫才の銀シャリ、みたいに言われてたんで。東と西で、ジャルジャルのスタイリッシュな感じと、僕らのこう、コテコテな感じと。全くかぶらないんで、すごく仲がいいんですよ。そこで、ジャルジャルが東京で戦っているのを見て、うれしかったですね」と言う。

 ジャルジャルはコントで売れっ子になった。それだけに、自分たちの牙城である漫才をやるジャルジャルに熱い視線を注ぐ。

 橋本は「だからジャルジャルが漫才やってきた時は…恐怖でしたよね。すごい、ぶっとんでるというか、破格、企画外の…去年もギリギリ勝ったんですけど。とにかく、漫才だけは負けたらアカンっていうのが常にありまして」。鰻は「去年なんか、決勝の第1ステージ1位でしたもんね」。橋本は「僕らもキングオブコントいったことがあったんで。お互いネタ作るのが好きなんで。同期でよかったなあって。切磋琢磨(せっさたくま)できてよかった思いますね」と話した。

 去年はトレンディエンジェルが優勝して、今年1年間、活躍した。あの明るいベッキーがゲス不倫騒動で休業を余儀なくされた芸能界を、あの頭で明るく照らし続けた。今年の「M-1」は、今年いっぱいで解散してしまうSMAPの後釜を見つける大会だと、記者は勝手に考えていた。

 鰻は「ポストSMAPですか?」。橋本は「興味深いですね。面白いですね。そういう考え方は確かにあるかもしれないですね…。いや、無理でしょ。絶対違うでしょ(笑い)」。鰻は「いないですよ。SMAPにメガネは」と笑う。

 日本国内でも珍しい名の「鰻」。その鰻は、鰻が駄目、食べられないという。鰻を扱っていた先祖が、ご禁制の鰻を食べて死んだとか…。

 鰻は「食べちゃ駄目っていう言い伝えがあるんですけど…。僕も、やっぱ食べたいんですよ。むっちゃ、おいしそうやなって。でも、食べて、失敗するっていう事は死ぬことじゃないですか。ほんまに、1回も食べたことないです。いろんな番組で食べさせられそうになりましたけど…何回もありますけど、全部、土下座してすんませんでしたって」。

 橋本はM-1の賞金を婚活費用にすると言った。M-1王者の肩書で、これからはモテモテだ。

 橋本は「ホンマですか?」と半信半疑。それでも「僕は、いつかは、優勝したときにはフリーでいるべきやと思ったわけですよ」と、やる気満々。鰻は「僕はもう結婚してしまったんで。一瞬の気のゆるみもだめですよ」と、ちょっぴり残念そう(笑い)。

 でも、浮かれてはいられない。これからは「週刊文春」「FRIDAY」などのスクープ系週刊誌、そして「日刊スポーツ」にも、女性関係を狙われる。

 「なんか…」と言葉を失う鰻だが、浮気が発覚して、しかもデートで鰻を食ってた衝撃事実が! なんてことになったら…。

 「最高ですねえ、チャンピオン直後の浮気!(笑い)」と橋本。「いやですよ、そんなんもう!どんぞこやないですか!一番嫌われますよ!」

 時間は限られていたが、話は尽きない。NSCの同期が約900人というお笑いバブルの時期に、ボケの鰻は必死の思いで、引く手あまただったツッコミの橋本を相方にした。記者が、つまらない冗談を言う度に「ほんまですね」「面白いですね」と合いの手を入れてくれた橋本。そして、笑わせてくれたり、驚かせてる鰻。うん、こういうツッコミがいてくれたら、俺だって…と思わせてくれる、2人の絶妙な話術だった。