一方、阿部は脚本を手掛ける宮藤官九郎氏とは気心知れた間柄だが、ドラマで宮藤氏とタッグを組むのは約10年ぶりという。「『あまちゃん』出てたよね? とよく聞かれますが出てません。『いだてん』に出られて良かった」。また「宮藤さんが大河の脚本書くと決まってから、宮藤さんのところに『主役は俺じゃないですか』と言いに来る人がいっぱい来ていると聞いて大変だな、無理だなと思った。そういう人たちに相当な目で見られるプレッシャーはある」と笑わせた。

 演じるのは田畑政治(たばた・まさじ)。政治記者でありながら、日本水泳の基礎を作った人物だ。アジア初の1964年東京五輪招致に情熱をかけた男で、異名はカッパ。阿部は「カッパの役をやるわけじゃないですよね」と宮藤氏に確認し、会場の笑いを誘っていた。また記者役を演じることについて「『政治さん』が政治記者とはすごい。今日、会見に来てる記者も、つまらなそうな顔をしている人もいて興味ある。(記者について)掘り下げたい」とも。同局によると、大河におけるリレー形式の主演は、津川雅彦、西田敏行、尾上辰之助の00年「葵 徳川三代」以来という。【中野由喜】

 ◆「いだてん」 1909年の東京を舞台に「スポーツ維新『ストックホルム大会』編」と題し、マラソンの金栗四三と短距離走の三島弥彦の友情と同大会などを描く。続く「オリンピックの光と影『ベルリン大会』編」で、1930年にスポーツ大国へと成長した日本に東京五輪を招致しようと、田畑政治と東京高等師範学校校長で講道館柔道創始者、嘉納治五郎の2人が奮闘する姿を描く。64年東京大会の準備のドタバタ劇も。また、ドラマの語りの役を、落語の神様といわれた古今亭志ん生に設定。志ん生を演じる人物も登場する。