音楽プロデューサー小室哲哉(59)が19日、都内で会見を開き、引退を表明した。不倫疑惑報道が引退を決意させる引き金になったが、09年の5億円詐欺事件の判決後、10年に復帰してから、悩み続けてきた7年間があったことが浮き彫りになった。会見中の言葉から引退の真相を探る。

◆詐欺事件後、2010年からの音楽活動

 小室は著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺罪に問われ、09年に大阪地裁で懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。翌年から音楽活動を本格的に再開したが、この日の会見でも「僕自身は周りの支援で、本当に恵まれて仕事をいただいた。何て恵まれているんだろなと。当たり前だと思っていた仕事が当たり前ではなく、本当にありがたいと思いながら仕事をさせていただきました」と何度も「恵まれた存在」と認識していることを強調した。一方で「罪もあれば償い、罰も受けなくてはいけないという感覚は10年の時にひしひしと感じ、他人よりも強いと思う。いけないことをしてしまった、人を騒がせてしまった時は、最大限のことをしなければと。僕の場合は、罪と罰にどうしても置き換えてしまいます」と重い責任を感じ、自分を責めていたことを明かした。事件後、常に「引退」を意識していたことがうかがえる。