戦前から活動する新劇女優で、NHK連続テレビ小説「おしん」の大奥さま役や宮沢賢治作品の朗読で知られ、女性演出家の草分けとしても活躍した長岡輝子(ながおか・てるこ、本名篠原輝子=しのはら・てるこ)さんが18日未明、老衰のため死去した。102歳。盛岡市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。

 戦前パリで演劇を学び、帰国後、劇団「テアトル・コメディ」を結成、フランス近代劇を紹介し、自らも出演した。

 1939年、自作「マントンにて」の文学座公演を演出し、文学座入り。欧米の現代劇のほか、飯沢匡、三島由紀夫、福田恒存らの作品を演出。64年には、ウェスカー作「大麦入りのチキンスープ」を演出、主演し、芸術祭文部大臣賞を受賞。70年に「メテオール」で紀伊国屋演劇賞を受賞。71年に文学座を退団し座友になった。

 テレビでは「おしん」(83年)で、主人公おしんの奉公先の大奥さま役を演じ、重厚な演技で話題になったほか、映画にも出演した。

 晩年は、宮沢賢治の童話と詩を岩手の方言で読む朗読会を続け、2003年、その功績で菊池寛賞を受賞した。著書に「父からの贈りもの」など。

 [2010年10月20日13時17分]ソーシャルブックマーク