NHK第62回紅白歌合戦に22年ぶり16回目の出場が決まった歌手千昌夫(64)が30日、都内で喜びの会見を行った。

 報告を受けた千は、「素直にうれしかったです」と天井を仰ぎ、「私にとっても日本にとっても大事な年になった。3月11日以降いろいろな現実を見てきて心を痛めてきました。震災以降、ぼくの歌を聴いて心を癒やされたと聞いて、歌手になって本当に良かったと思っています」と出場を喜んだ。

 千のふるさと岩手県陸前高田市は、東日本大震災で被災。母親が暮らす実家も半壊するなどの被害を受けた。同市にある景勝地・高田松原には、7万本の松があったが津波により根こそぎさらわれ、奇跡的に1本だけ残った。

 新曲「いっぽんの松」(11月2日発売)では震災を風化させないでほしいとの願いを込めて歌っている。

 デビュー46年目を迎え、22年ぶりとなる出場までにさまざまな苦難を乗り越えてきた。バブル期の不動産投資で借金が膨れ上がったこともあった。「以前はいやな質問ばかりされたときもあったね」とリポーターを捕まえて、冗談も飛び出し笑いを誘った。

 当日は、「落ち着いてただ淡々と歌います」とし、「歌を通してメッセージが出来ることで、喜んでいただければいいなと思います」と意気込みを語った。