45年の歴史を持ち、東京・銀座唯一の名画座として映画ファンに親しまれている映画館「銀座シネパトス」が来年3月末に閉館することが20日、分かった。閉館を惜しむ俳優の秋吉久美子(57)や香川京子(80)らが同劇場を舞台にした新作映画に出演し、最後の上映作品となることも決まった。

 閉館は、劇場がある三原橋地下街の耐震性の問題で取り壊しが決まり、東京都から立ち退き命令があったためという。

 銀座シネパトスは1967年から翌年にかけ、銀座の中心部に近い三原橋地下街に「銀座地球座」「銀座名画座」としてオープン。2009年からは、3スクリーンのうち1スクリーンを邦画専門の名画座とし、日本を代表する巨匠や名優の作品を特集上映するとともに、出演俳優のトークショーも開催してきた。

 新作映画は、映画評論家の樋口尚文さん(50)がメガホンを取る「インターミッション」。映画館の休憩時間の客席を舞台に、観客たちが繰り広げるブラックコメディー風の群像劇。

 「シネパトスの姿を映画に刻みたい」という樋口さんの思いに、呼び掛けた俳優二十数人全員が賛同し、秋吉や香川のほか、染谷将太(19)らが出演、来年2月23日から閉館日まで同劇場で公開される。

 樋口さんは「シネコンで画一化された映画しか見られなくなっている今日、デジタル化の波に逆らって旧作フィルムの掘り起こしをしてきた映画館が消えるのは残念。最後に映画館に行かないと見られないものを見せたい」と話している。

 俳優の香川京子のコメント。

 「どんどん名画座がなくなっていくのが寂しい。デジタル化が進んで昔の名作を見る機会が少なくなり、フィルムの危機を感じている。みなさんに名作を見てもらえるよう、少しでもお役に立てればと思って活動しており、今回の企画にも賛同した」。