日中合作映画「真夜中の五分前」(公開中)の行定勲監督(46)が29日、大阪市内の劇場でトークイベントを行い、撮影の苦労話を明かした。

 映画は双子の中国人姉妹と日本人の時計技師の謎めいたラブストーリー。主演は三浦春馬だが、ヒロインの中国人女優リウ・シーシーは「次にオファーを出したら、ギャラは1億円」(行定監督)という次世代スター。そのため、公開規模は日本の80スクリーンに対し、中国では破格の4000スクリーンとなった。ならば、撮影は順調に進んだと思いきや、昨年11~12月の中国・上海ロケは苦労の連続だったという。

 「撮影許可を取っているのに、街中でカメラを回すと、すぐに公安がやってきて『(お金)ちょうだい』という状態。ワイロが当たり前なんですね。だから、場所を変えるのは日常茶飯事でした。1つも順調なことはなかった」。しかも、撮影中に転倒して、左ひじを骨折し、全治2カ月…。踏んだり蹴ったりの状況に「怒り心頭でした」と苦笑いで語った。

 10年前に本多孝好氏の原作を手にし、そこから紆余(うよ)曲折を経て、苦労の末に出来上がった作品でもあり、愛着はひとしおの様子。「明快なストーリーではないけど、何かがある映画。いいも悪いも含めて、見た方に自分の意見を語っていただけるとうれしいです」と話していた。