オール兵庫ロケを敢行した映画「繕い裁つ人」(31日公開)の主演女優中谷美紀(39)が14日、三島有紀子監督とともに神戸市役所で久元喜造市長(59)を表敬訪問した。

 中谷は、久元市長に「(昨年のNHK大河ドラマ)軍師勘兵衛、見てました」と話し掛けられると「兵庫には縁が深くて…」。他に西宮市近辺を舞台にした映画「阪急電車」などにも出演しており、しきりに照れ笑いを浮かべた。

 おりしも阪神大震災発生から、17日で丸20年。中谷は「東京にいて、ただただショックを受けていた」と震災当時を振り返る。今回は洋裁店の2代目店主を演じ、神戸女学院大卒の三島監督らが決めた兵庫県内のロケ地で撮影を行った。

 「私は震災前の神戸を知りませんが、映画では三島監督ならではの美しいカットにあふれています」。撮影時、共演の三浦貴大が神戸牛と淡路島のタマネギのカレーを現場で作れば、中谷も負けじと豚汁を作ってスタッフに振る舞ったエピソードを明かすなど、関係者一丸で作り上げた作品への強い思い入れを打ち明けた。

 三島監督は震災当時、NHK大阪放送局勤務。大阪市内の自宅で風呂に入っており、昼すぎには神戸市に入ったという。「父が服を神戸のテーラー(洋裁店)で仕立ててもらっていたので、将来テーラーの話を撮るなら神戸で、と決めていた」と言い「震災で美しいものがたくさん失われましたが、今の美しい街並みを絶対に記録として残しておきたかった」と作品に込めた思いを説明した。