俳優坂口憲二(32)が五輪選手養成を夢見ている。トータルプロデュースする「坂口道場横浜支部」がこのほど、横浜・都筑区の仲町台駅前に開業し、小学生の体験教室で講師として指導した。坂口道場は、父で新日本プロレス相談役の坂口征二(66)を代表に05年、東京・狛江に誕生した。体験教室では狛江道場の生徒が、見学する約50人の子供たちの前で受け身、乱取りを披露。小柄な小学生が、185センチの憲二を投げ、見学の子供たちをくぎ付けにした。

 横浜支部は横浜在住の入門希望者の声もあり設立された。支部代表は兄で総合格闘家の坂口征夫(34)。憲二は狛江で週1回、小中学生を指導しているが、横浜にも可能な限り足を運ぶ予定だ。「人を育てるのは大変だけどおもしろい。3年前、前転も出来なかった子が今は試合に勝って平気で僕を投げて。体が小さい子は逆に努力する。3年たってそれがすごく形になってる」。

 憲二も中学時代は柔道を志した。団体戦では「柔道日本一の息子」に対し、相手から強い選手をぶつけられた。「昔は今ほど体が大きくなかったし、投げ飛ばされてばかり。柔道を好きになる環境じゃなかったかも」。1度柔道から離れたが、芸能界入りし、番組の企画で初段を取り今は2段に昇進した。「今は投げる楽しみも覚えて『昔もっとやっておけば良かった』って思ってます」。

 だからこそ、子供たちには礼節はもちろん、柔道の楽しさを教えることを優先している。「うちの兄は厳しい。僕はたまに来て『中和』できればいい。厳しさより楽しんでやれるようにしています」。狛江道場の生徒は、練馬区の少年柔道大会で優勝するなど確実に成長している。「将来はうちの道場から五輪に出たり、柔道界を背負っていく選手が生まれれば」。コーチとしての夢は、憲二少年の夢だったのかもしれない。