歌詞の内容をめぐり、賛否両論が巻き起こっている歌手森山直太朗(32)の新曲「生きてることが辛いなら」(27日発売)が、一部のコンビニエンスストアの店内放送で使用不可になったことが18日、分かった。テレビ、ラジオや有線放送では「問題ない」と流されている。だが、短時間に出入りする客が多いコンビニは「歌詞の一部だけ耳にする可能性がある」として放送されないことになった。

 賛否が起こっているのは歌詞の冒頭「生きてることが辛いなら

 いっそ小さく死ねばいい

 恋人と親は悲しむが

 三日と経てば元通り」の部分。発売前から歌詞について、「心に残る」「過激すぎる」などの声が多数寄せられた。最後は「生きてることが辛いなら

 嫌になるまで生きればいい」と締めくくられ、直太朗は「生きることに、自分なりに真摯(しんし)に向き合って作った楽曲」としている。

 テレビや有線放送などでは「問題はない」として流され、直太朗はNHKや民放の歌番組でも演奏する予定だ。だが、一部のコンビニは「不特定多数が、短時間に出入りする場所。歌詞の一部分だけ耳にする可能性があり、無差別に流すのはどうか」と議論に。審査の結果、店内放送としての使用を見送った。

 同曲は直太朗の楽曲の共作者でプロデューサーの御徒町凧(おかちまち・かいと=31)氏の作詞。書いたのは10年前で、生きることに疲れていた友人にメッセージとして贈った詩だった。後日、友人から「元気づけられた」と言われうれしかったという。そのまま、未発表のまま自宅に残していたが、直太朗が御徒町氏の引っ越しを手伝った際にこの詩を見つけ「曲をつけたい」と楽曲制作に取りかかった。

 賛否論争が拡大し、Yahoo!でも「『いっそ小さく死ねばいい』の歌詞は問題があるか」の意識調査が行われた。同調査では、10万件を超える投票があり「まったく問題ない」が46%、「ほとんど問題がない」が21%を占めた。

 直太朗は「メッセージは詩の全体に込められています。一部ではなく全体を聴いてほしい」。所属のユニバーサルミュージックは「社内外で議論した結果、詩の表現として大丈夫という結論に達し、発表することになった」とコメント。20日から歌詞付きの着うたフルの配信開始を行い、曲全体をアピールしていく方針だ。