女優宮本信子(63)が、夫で映画監督の伊丹十三さん(享年64)の11度目の命日となる20日、東京・中央区の浜離宮朝日ホールで「プレミアム・ミーツ・プレミアム2008」と題したジャズライブを行う。このほどインタビューに応じ、「命日ライブ」への思いを語った。

 20日を選んだのは宮本自身だった。「19、20日のどちらかを選べと言われまして、伊丹の亡くなった日にしました。こういう機会はありませんから、この日に限っての最初で最後のつもりで伊丹のことをお話しします。お客さまにとっても、『へぇ~』という話があるかもしれません」。

 ジャズとの出合いは、97年に伊丹さんを失い、心にポッカリと穴の開いていた時期だった。カラオケのマイクすら握ったことのない音楽の初心者だった。だが、テレビの歌番組に出演する機会を得て、人前で歌う楽しさにはまったという。それからはや9年。「音を楽しむと書いて『音楽』ですから。シンガーなんて言われると何かモゾモゾしますけど、私はただ、お客さまの前で歌うのが好きなだけなんです」。

 本当は「自分のことや家族のことを話すのはあまり好きでない」という。だが、自ら決めたことには意を決して臨む。「普段、伊丹のことを考えると後ろ向きになりますから。そういうことを考えるとつらいですし、人にも言いません。(しばし黙考した後で)自分を守ってくれていますから。(頭上を指して)ここら辺で。絶対に守ってくれています」。歌うのは14曲。伊丹十三さんへの思いを語り、心に区切りを付けた上で次のステップへ踏み出す「13+1」の意味を持つ曲数なのか?

 気になって聞いてみると「たまたまです。言われるまで気付きませんでした」とにこやかに笑った。コンサート当日、伊丹さんをどのように語るのか。「プレミアムな日」まであと2週間を切った。【松本久】