女性に合成麻薬MDMAを渡したなどとして、麻薬取締法違反の疑いで逮捕された俳優押尾学容疑者(31)が9日、同法違反の疑いで東京地検に送検された。容疑は否認したままという。警視庁捜査1課によると、同容疑者が別の複数の女性に薬物を渡していたことも判明。同容疑者と親しかった複数の女性タレントらが警察の聴取を受けるなど、“押尾騒動”は芸能界を巻き込んだ広がりをみせている。

 送検容疑は7月31日に東京・六本木ヒルズのマンションで、この日に同容疑で送検された知人の泉田勇介容疑者(31)からMDMAを譲り受け、8月2日に飲食店従業員田中香織さん(30)に渡した疑い。証拠隠滅容疑でエイベックスの元マネジャー遠藤亮平容疑者(28)も送検された。

 押尾容疑者は田中さんにMDMAを譲渡した容疑を否認したまま送検されたが、捜査1課では同容疑者と親交のあった複数の女性から事情を聴取、薬物を受け取ったという証言を得ている。フジテレビによると、田中さんが亡くなる数日前の7月下旬、同容疑者から「気持ちがよくなるから飲みなよ」と譲渡された女性もいたという。この女性以外にも「もしかしたら、死んでいたのは私だったかもしれない」と話す元交際相手もいたという。服用後に、一時的に意識を失うような症状になった女性もいたようだ。

 捜査1課では、同容疑者がMDMAの危険性を十分に認識していた可能性が高いと見ている。田中さんの容体が急変してから、部屋に駆けつけた知人が119番通報するまで「空白の3時間」があった。この間に押尾容疑者は現場を離れた。

 同容疑者は自ら救急車を呼ばなかったことについて「ほかの人に頼んだ。そいつが呼ばなかった」と話しているが、当時連絡を取った6人とも通報を依頼されていないという。捜査1課では同容疑者の行動が適切だったどうか、保護責任者遺棄などの疑いでも捜査を進めている。

 また、押尾容疑者が逮捕された横浜市内の高級マンションは人気モデルの住居だった。ほかにも、かつて交際していたモデルやタレントなど複数の芸能人が、薬物セックスを楽しむ関係ではなかったかどうかで、事情聴取を受けている。1度は執行猶予付きの有罪判決が確定した押尾容疑者による薬物事件だが、まだまだ芸能界に広がりをみせる可能性も高い。

 [2009年12月10日9時11分

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