【台北15日=岩田千代巳】演歌歌手小林幸子(57)が「台湾観光フェスタ」に出席し、馬英九総統(60)から「台湾観光大使特別賞」を授与された。昨年1月、台湾で紅白歌合戦の巨大衣装を披露し3公演で9000人を動員。日台親善に貢献したことが認められた。今回を機に「終身観光大使」にも就任した。この日、台湾市内の会場で「演歌巨星」と紹介された小林は「親善」の意味を込め天使とハトの柄の着物で登場。馬総統が「コバヤシサン」と日本語で呼びかけ盾を渡し、小林は09年の紅白衣装「メガ幸子」のアートをプレゼントした。

 台湾では紅白歌合戦が生放送されており、地元でブームのカラオケ教室でも小林の楽曲が使用されるほど知名度が高い。特に09年に紅白で披露した「メガ幸子」は、台湾の航海の女神「媽祖(マーズ)」に似ていたことも人気に拍車をかけた。

 小林は「終身大使第1弾」として「メガ幸子」の衣装を台湾に無期限で貸与することを発表。装置の部分は高さ8・5メートル、重量3トンと巨大なため断念したが、小林が着用した衣装部分を貸与する。10種類以上の紫を使用し、21人の職人が4カ月かけて製作した力作で、3月2日の日本のイベントで着用後、台湾に贈る予定だ。

 小林は「馬総統は相当、すてきな方でした。アートを渡したときも『マーズ』とすごく喜んでくださった。女神に似てると言われることはとても気分がいいです。母なる気持ちです」。台湾観光局から既に、第2回公演の依頼も舞い込んでいる。「次は台北だけでなく、台南と台湾ツアーをやりたいですね。マーズの衣装も海を渡るのは光栄。台湾に嫁入りする気分。いろんな方に見ていただきたい」と「分身」にも末永く大使役を託していた。