歌舞伎俳優市川海老蔵(33)が昨年11月に暴行を受け重傷を負った事件で、傷害罪で起訴された元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)の初公判が18日、東京地裁で開かれた。検察、弁護側の双方が、事件前に海老蔵が元暴走族リーダーらに執拗(しつよう)に酒を勧め、挑発行為もあったことを認めた。

 公判では、検察側から海老蔵の供述調書も読み上げられた。「人生で最も恐怖の体験。忘れようとしたけど、必死に追われる夢を見て起きたことがある」。伊藤被告からは「お前のせいだ。お前が飲ませたからだ」と言われ、殴られたという。検察側からは、海老蔵の鼻や口から相当量の出血があり、意識不明になった場合、窒息死の可能性があったことも示された。

 しかし、同公判で海老蔵の酒癖の悪さが明白になったことは、5月とされた舞台復帰に影響しそうだ。歌舞伎興行を制作する松竹は5月「団菊祭」での復帰を目指していたが、判決が3月中旬の見込みになったこともあり、関係者は「時間的に無理だし、海老蔵への風当たりは収まりそうにない」と話している。

 また、都内にある海老蔵の自宅には、多数の報道陣が詰め掛けたが、昼すぎに、すしと見られる差し入れがあったほかは静まりかえり、奥の部屋から明かりが漏れていた。