女優田中好子さん(享年55)が亡くなった21日夜、夫の小達一雄氏が会見し、田中さんが闘病しながらも、東日本大震災の復興に協力したい思いを持っていたことを明かした。

 小達氏は、この1カ月間半の様子を務めて冷静に話した。田中さんは東日本大震災が発生した3月11日以降、闘病しながらも被災地に思いを向けていたという。「ああいう出来事が起きて、張り裂けそうな胸の中で『自分がやれることがあったら』という思いは強く持っていた気がします」。

 田中さんがボランティアへの思いを強めたきっかけは、夫だった。小達氏は、白血病で亡くなった妹の名を冠した「夏目雅子ひまわり基金」を93年12月に立ち上げ、がん治療で髪が抜けてしまった人へのカツラの無償貸与や、骨髄移植の啓発などを行ってきた。田中さんは夫の活動を見て、自分が出来る福祉を強く考えるようになったという。

 病の床に伏しても、被災地のことを思う強い気持ちは闘病生活でも発揮された。積極的に治療に取り組み、小達氏も漢方薬など治癒の可能性のある、あらゆるものを飲ませたという。容体も急変までは安定し、がんの痛みを抑えるために一般的に使用されるような鎮痛剤も投与せず、痛みを予防するための座薬程度で済んでいた。同氏は「病にナイーブになることはなかった。与えていただいた仕事に対し、責任や誇りを持っていた。後ろを向くようなことはなかった」と妻をたたえながらも、途中で何度も言葉を詰まらせた。