歌舞伎俳優中村福助(50)が来年7月の舞台「男の花道」で歌舞伎以外の舞台に初めて立つことが26日、分かった。中村梅雀(56)と初共演し、津川雅彦ことマキノ雅彦監督(71)が演出を担当する。

 「男の花道」は福助にとってゆかりのある演目だ。先祖にあたる名優中村歌右衛門と名医土生玄磧を主人公に、眼病を治してもらった玄磧への恩返しのため、歌右衛門が舞台途中で抜け出して駆け付ける男同士の友情を描く。41年に津川の叔父マキノ雅弘監督により長谷川一夫、古川緑波の共演で映画化され、その後、舞台化もされた人気作。

 福助は「私の先祖である3代目歌右衛門をモデルにした作品で、長谷川先生の映画を拝見して、1度は演じてみたいと思っていました。津川演出で梅雀さんと共演でき、この作品に挑めることは楽しみです」。梅雀も「(玄磧は)父梅之助が長谷川さんの公演で演じた役ですし、福助さんとの共演、津川さんの演出と楽しみ満載の公演です」。

 演出する津川も「シンプルで心温まる話なので、シンプルな美術が合うと思います。福助と梅雀。当代の名優がそろったので、きめ細かいリアルな芝居に構築すればするほど、面白くなるとの自信がある」。3代目歌右衛門が大阪から江戸に来て活躍したのにちなみ、大阪・新歌舞伎座を皮切りに、岐阜・羽島市文化センター、東京のル・テアトル銀座で上演される。