1981年(昭56)に亡くなった脚本家で作家の故向田邦子さん(享年51)の短編4本を、オリジナルストーリーとして完全リメークしてWOWOWでドラマ化することが18日、分かった。ドラマW「向田邦子

 イノセント」と題し、3月24日から放送(土曜午後10時、全4回)する。原田美枝子(53)寺島しのぶ(39)中越典子(32)貫地谷しほり(26)の実力派女優4人が主演を務める。

 初めてドラマ化される「三角波」を含めた4作は80年前後に書かれ、向田さん定番の家族ドラマと一線を画した、美しい女が本性むき出しで人を愛する物語。向田さんは生前、「若手脚本家を育てたい」と思い続け、実妹でエッセイストの和子さんも「昭和のものという固定観念を捨て、新鮮な目で新しい向田ドラマを楽しんでもらいたい」と願っていた。向田さんの遺志と和子さんの意志を受け、WOWOWシナリオ大賞や優秀賞を受賞した若手脚本家が向田作品をオリジナルと言えるまでに書き換え、現代を舞台によみがえらせる企画がスタートした。

 原田は「生前、お会いすることも作品に出演させていただくチャンスもありませんでしたが、脚本の面白さに驚きました」と話し、寺島は「作品が人間臭くて大好きなので、とてもうれしかった」。中越も「時がたっても愛され続ける向田さんの作品を演じる機会をいただき感謝しています」と喜んだ。向田さんの没後に生まれた貫地谷は「向田邦子作品、今年1発目のお芝居なので、気持ちを引き締めて臨みたい」と気合を入れた。

 ◆向田邦子(むこうだ・くにこ)

 1929年(昭4)11月28日、東京生まれ。実践女子専門学校(現実践女子大)卒。59~61年に書いた、日本テレビ系ドラマ「ダイヤル110番」の脚本4本が09年9月に発見されデビュー作とされる。代表作は、父敏雄氏をモデルに「寺内貫太郎一家」「だいこんの花」「父の詫び状」など。短編の「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で第83回直木賞受賞。81年8月22日、台湾を旅行中に飛行機事故で急逝。