ニッポン放送とフジテレビの元アナウンサー塚越孝(つかごし・たかし)さんが、現在勤務する東京・台場のフジテレビ社内のトイレで死亡していたことが27日、明らかになった。57歳だった。26日夕方、トイレ内で首をつった状態で警備員に発見された。近くに「ご迷惑をかけて申し訳ありません」などと書かれた遺書があったことから、警視庁東京湾岸署では自殺とみて調べている。

 同局によると、塚越さんは26日午後2時から同局の動画配信サイト「見参楽(みさんが!)」で流す「お台場寄席DOUGA」の収録を行う予定だったが、姿を見せなかった。デスクにカバンがあったことから関係者が行方を捜していたところ、トイレの個室で発見されたという。

 親しい知人によると今年5月、学生時代の恩師の墓参りに参加後、仲間と近くのカラオケ店に出向き、司会役も買って出るなど楽しそうな様子だったという。知人は「悩んでいるようには見えなかった」。今年の年賀状には「定年後は大好きな落語に絡む仕事がしたい」とつづるなど、第2の人生について、前向きに考えていた。

 77年にニッポン放送に入社。同局看板番組「オールナイトニッポン」のパーソナリティーなどを務めた。快活なしゃべりと「塚越孝、つかでございます」のあいさつで人気を集め、「つかちゃん」の愛称で親しまれた。ニッポン放送再編に伴い、06年4月にフジテレビアナウンス室に移籍、昨年6月の定期異動でクリエイティブ事業局クリエイティブ事業営業部の部長職に就いていた。最近まで、周囲に「現場で仕事がしたい」などと漏らしていたという。「私生活で悩みを抱えていたようだ」と話す知人もいた。

 同局は、「突然のことで大変驚き、言葉もありません。非常に残念です。ご冥福をお祈りいたしております」とコメントしている。

 ◆塚越孝(つかごし・たかし)1955年(昭30)3月20日、川崎市生まれ。77年に日大芸術学部放送学科卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。「オールナイトニッポン」「朝からたいへん!つかちゃんです」などで人気者になった。フジテレビ移籍後はBSフジNEWSの日曜夜などを担当。落語に精通し、「権太楼の大落語論」「まむちゃんつかちゃんの落語にラジオ」などの共著がある。千葉大国際教育センター客員教授なども務める。