「ワイルドだろ~」のギャグで知られるお笑いタレントのスギちゃん(39)が1日未明、テレビ朝日のバラエティー番組収録中に全治3カ月の重傷を負った。10メートルの高さからプールに飛び込んだ衝撃が原因で、「第12胸椎破裂骨折」と診断された。スギちゃんは入院だけで4~6週間を要するとみられ、ブレークした働き時に仕事のキャンセルを余儀なくされた。同局は、文書でお詫びのコメントを発表。9日放送予定の番組は延期になった。

 事故は、千葉県習志野市の千葉県国際総合水泳場で深夜1時ごろに起こった。お笑い芸人が高さ10メートルの飛び込み台から飛び込む人気企画の収録中だった。

 所属事務所サンミュージックによると、スギちゃんはプールに足から飛び込んだ直後、腰に痛みを訴えたという。現場には、インストラクターと看護師が立ち会っており、同県内の病院に救急搬送された。テレビ朝日は「インストラクターの指導通りに飛び込んだ」としているが、衝撃は相当のものだったようだ。

 4~6週間の入院、その後リハビリをして仕事復帰する予定だが、今年ブレークしたスギちゃんは、今月も休みなく仕事が入っていた。1日も午後からナゴヤドームで開催された「東京ガールズコレクションin名古屋」にゲスト出演の予定だった。当面の仕事をキャンセルせざるを得ない状況になったが、休業補償について同局は「今日(事故が)発生したばかりなので申し上げられません。番組としては保険に入っています。ほかのすべての番組と同様です」と説明した。

 体当たり企画のあるバラエティー番組でのけがは多い。10年7月には、芸人がさまざまな種目に挑戦するフジテレビ系「オレワン」特別番組収録で、負傷者が3人出て放送が中止された。今回の事故により、飛び込み企画の自粛もあり得るが、テレビ朝日は「まだ申し上げられません」と話すにとどまった。

 入院中のスギちゃんには事務所関係者が付き添っており、会話はできる状態。胸椎周辺には、体の各部につながる神経が多く集まっているが、関係者によると、神経への影響は見られず、後遺症も残らないようだとした。手術せずに治療するという。全治3カ月の診断だが、同関係者は「3カ月まるまる休むことはないかも」と話す。最近のスギちゃんは「実はワイルドじゃない」キャラクターで笑いを取っていたが、ワイルドなスギちゃんらしく、早めに仕事復帰する可能性もありそうだ。

 スギちゃんは今年6月、多忙のため体調不良でダウンした時には、点滴を打って1日で仕事復帰した。

 ◆胸椎

 脊椎を成す骨のうち、背中にあたる部分。胸椎は12個あり、上から順に第1胸椎、第2胸椎と呼ばれる。それぞれの胸椎の間には椎間板があり、関節でつながった肋骨(ろっこつ)が体前面に伸びている。脊椎とは一般的に背骨という場合の箇所で、胸椎のほか、頸(けい)椎、腰椎、仙椎、尾椎で構成される。破裂骨折とは、骨がつぶれて破裂したような状態になっている骨折のこと。

 ◆スギちゃん

 本名・杉山英司(すぎやま・えいじ)。1973年(昭48)8月24日、愛知県生まれ。95年にお笑いタレントとして吉本興業名古屋からデビュー。4年後に上京し、01年にコンビ、メカドックを結成し、08年に解散。昨年サンミュージックに移籍し、本名での活動から芸名をスギちゃんに。今年、ピン芸人NO・1を決めるR-1ぐらんぷりで準優勝。血液型B。