<連載「気になリスト」(22)>

 子どもたちの言葉で輝きを取り戻すことができた。90年代にアイドルとして人気を集め、現在はモデル、美容研究家として活躍する神崎恵(36)。著書「一瞬で美人の秘密が手に入る

 メイクの魔法」は売り上げ3万部に迫る勢いだ。20~40代の女性たちから支持を得ている。実は離婚を経験し、今は12歳と8歳の息子2人を育てるシングルマザー。芸能界からいったん離れたが、子どもたちの何げない言葉で、自分の中に眠っていた気持ちが呼び起こされた。

 4年前。息子たちが言った。「ママはこれから何になるの?」。ハッとした。その3年前、夫とは別居を始め、子どもたちを1人で育てていた。私生活の不安から、「イライラして子どもたちにあたってしまったことも。泣いてしまった日もあります」。そんな時に思わぬ言葉を子どもたちから聞かされたのだ。「自分は今、本当にやりたいことをしているのか。息子たちに誇れる生き方をしているのか。あらためて考えさせられました」。

 決意した。「子どもたちに頑張っている姿を見せたい」。モデル事務所に入った。

 アイドル時代は「仕事があるのが当たり前だと思った」というが、復帰後は「1つの仕事をするのに、どれだけの人が関わっているのかあらためて知った。だからその思いに応えたくて」。やれる仕事は何でも取り組んだ。2年前には離婚が成立。「女性はママになっても輝き続けることができる。そういうことを伝えたかった」。女性誌に登場する時は、「ママ・ビューティー」「シングルマザー」などのキーワードが誌面を飾る。「すっぴん」も隠さなかった。女性の支持が拡大した。「神崎ママ」のキャラクターで出演し、タレント前田健とぶっちゃけトークを展開するウェブ動画番組「神崎二丁目」は、放送わずか5回で視聴回数は1万回を超えている。

 毎日、ワクワクしながら過ごしている。「子どもって、お母さんの顔色がすごく気になるんです。今じゃ『ママすごく最近楽しそうだねって』と言うんです。伝染するみたいで、子どもたちも笑顔になって」。

 アイドル時代は「とりえのないことが苦しかった」という。今は違う。「私は見られる側じゃなく、支える側だったんだって」。かつての自分と同じように、人生について自問自答している多くの女性に言う。「あきらめたら、止まっちゃう。踏み出してほしい」。【山田準】

 ◆神崎恵(かんざき・めぐみ)1975年(昭50)12月13日、神奈川県生まれ。93年にヤングジャンプ「全国女子高生制服コレクション」グランプリで芸能界デビュー。96年に引退。00年に元Jリーグ横浜の遠藤彰弘と結婚したが、10年に離婚。14年ぶりに芸能界復帰して、モデル、美容研究家として活躍中。趣味はテニス、ゴルフ、乗馬、書道、ピアノ。(12月5日付

 紙面から)