今井翼(31)が山田洋次監督(81)演出の舞台「さらば八月の大地」(11月、東京・新橋演舞場)に出演することが29日、分かった。脚本は「焼肉ドラゴン」の鄭義信氏で、太平洋戦争中の満州(現中国東北部)で、映画作りに情熱を傾ける若者たちの国境を超えた友情を描く。今井は歌舞伎俳優中村勘九郎(31)演じる主人公、中国人助監督の良き同志で、日本人撮影助手役に抜てきされた。

 勘九郎の亡父、中村勘三郎さんがつないだ縁だった。今井は勘三郎さん主演の99年NHK大河ドラマ「元禄繚乱」で、赤穂四十七士の1人として出演。製作の松竹は今井の起用について「本作は新しい勘九郎の襲名公演が終わり、初めての現代劇。先代勘九郎となるべく縁がある方にお願いしたかった」と説明する。

 「元禄-」に出演した当時は18歳で、勘三郎さんから「一番後ろで座っているあなたの姿がいい」と褒められたという。「以前はお芝居に興味がなく、映像を見るのも嫌でした。勘三郎さんの言葉は励みになる言葉で、役者としての原点として大事にしています」。演技に対する姿勢を変えるきっかけの1つになった。

 勘九郎とは同じ81年生まれ。「勘三郎さんのご子息と共演するのも何かの縁。仕事を超えたいい関係を築きたい」と初共演を楽しみにしている。山田監督の演出については「楽しみ半分、怖さ半分。めったにないチャンスなので、俳優としてのステップアップになれば」と意気込んでいる。