ファンキーモンキーベイビーズが2日夜、東京ドームでラストライブを行い、解散した。前日1日を含め、2日間連続で行われた解散公演は計10万人を動員。4時間に及んだライブの半分は、トークを中心とした歌唱以外の時間に充てた。2004年(平16)元日の結成から約9年5カ月。「ベイビーズ」と呼ぶファンを大切にし、幅広い世代に親しまれた3人は、最後までファンに寄り添った。

 アンコール曲をすべて歌い終えると、ファンキー加藤(34)は目を閉じた。手を広げて歓声と拍手を受け止めると、初めて涙をぬぐった。「ファンモン史上最幸(最高)のライブでした。悲しいだけの卒業式じゃない。今日はそれぞれの新しい入学式だと思っています」。熱い性格からファンキー加藤は、何度か涙をこらえる場面があったが、DJケミカル(31)は笑顔で力の限り跳びはね、モン吉(34)は基本的にポーカーフェース。この日もスタイルは変わらなかった。

 半月前からリハーサルを開始したが、気負いはなかった。3日前には、久しぶりに3人で地元東京・八王子市内の飲食店で会食。思い出や昔話ではなく、それぞれの将来を楽しく語った。初の東京ドーム公演にして、ラストライブ。DJケミカルの「お祭りにしたい」という願い通り、ベイビーズを大切にするファンモンらしい構成だった。

 集大成を意識し、ヒット曲やファンの人気曲を中心にメンバーが選曲した。アンコールを含めて25曲。通常と曲数は同等数だが、普段よりトークの時間を増やした。DJケミカルは気球に、ファンキー加藤とモン吉はトロッコに乗り、アイドルさながらサインボールを投げる珍しい演出も。歌唱以外に2時間。約4時間のステージで、ファンと積極的に触れ合った。

 今後は別々の道を歩む。DJケミカルは寺を継ぐために修行に入る。前日の公演でモン吉は「音楽を続けていこうと思っています」と意向を明かしたが、所属事務所はファンキー加藤とモン吉の今後について「未定」としている。

 デビュー当時は各地のショッピングモールを回り、片隅でライブを開催。手売りもした。ストレートなメッセージや口ずさみやすいメロディーから、世代、性別を問わず広く愛され、昨年末までNHK紅白歌合戦に4回連続出場。数々の楽曲がカラオケ定番曲になった。数字的には大きな記録はない。地道な努力を重ね、記録よりも記憶に残るグループに成長した。

 最後は思い思いにファンに語り掛けた。モン吉は「必死で走り抜けてきました。つらいこと、楽しいこともあったけど、早かったね」。DJケミカルは「今までで一番といっていいくらい、楽しかったです」。ファンキー加藤は「ずっと忘れないでいてくれますか。僕らの音楽を心の中で奏でてください。そうすれば、永久に不滅です!」と言った。解散後も楽曲が多くの人々に寄り添い続ける。3人共通の願いを込めて。【近藤由美子】