フジテレビ系バラエティー「ほこ×たて」(日曜午後7時)が、不適切な演出があったとして27日以降のレギュラー放送を取りやめることが24日、分かった。同局によると、問題があったのは20日放送の2時間スペシャル「絶対命中スナイパー軍団VS絶対逃げるラジコン軍団」。実際には最初に対戦したラジコンのボートがスナイパー(狙撃手)に3連勝して対決は終了していたが、放送ではヘリコプター、車、ボートの順で対戦し、「ラジコン軍団」が逆転勝利したように演出していたという。

 同コーナーについては、出演してラジコンカーを操縦した広坂正美氏が23日、事実とは違う対決シーンを捏造(ねつぞう)し、放送されたという趣旨の告発を勤務先のHPにアップしていた。ネット上で騒動になり、同局には抗議や問い合わせが相次いでいたが、同局広報部がこの日、「(20日放送分の告発は)おおむね事実」と認めた。

 20日放送の同コーナーでは、3人のスナイパーとラジコンボート、ヘリコプター、カーの3台が対決。収録では1番手のボートが3連勝し、ラジコン軍団の圧勝だった。しかし、放送では番組側の演出で「接戦」に捏造されていたと、広坂氏は告発。さらにラジコンカーの対戦相手は女性スナイパーだったが、放送では男性に変わっていたと指摘した。

 告発は12年10月21日に放送されたラジコンと猿との対戦にもさかのぼり、番組側による動物虐待疑惑も指摘した。「猿がラジコンカーを怖がって逃げてしまうので、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーを引っ張り、猿が追い掛けているように見せる細工をしての撮影でした」。

 広報部によると、広坂氏にはコンタクトを取った上で20日放送分に関しては謝罪をし、過去の問題について「調査中」と報告したという。27日以降は旅番組などに差し替えるとし、放送倫理・番組向上機構(BPO)にも報告。その上で「視聴者、出演者に深くおわびいたします。皆様からの信頼にお応えできると判断するまで放送は自粛します」とのコメントを発表した。調査は、初回放送分から行うという。

 ◆「ほこ×たて」

 11年1月から深夜枠で放送開始。「矛盾」の語源をテーマに、相反する2者を対決させる番組で、代表的な対決は「絶対に穴の開かない金属」対「どんな金属にもアナを開けられるドリル」など。お笑いコンビ、タカアンドトシが司会。同年10月にゴールデン帯進出。12年の日本民間放送連盟賞のテレビエンターテインメント番組部門で最優秀賞を受賞している。