東日本大震災に伴う被害に関し「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」と発言した今村雅弘復興相は26日、安倍晋三首相に辞表を提出、即更迭された。

 自民党の二階俊博幹事長は26日、都内の講演で、今村氏の発言をめぐる報道機関の姿勢について「余すところなく記録を取り、一行でも悪いところがあれば首を取れと。なんということか」と、批判した。4500人が集まった二階派パーティーが、今村氏の失言&辞職の舞台となり、派閥トップの二階氏は顔に泥を塗られた形。こうした流れが「恨み節」になったとみられるが、自身の派閥の今村氏をかばったとも受け取れ、波紋を呼びそうだ。

 二階氏は「人の頭をたたいて血を出したという話ではない。いちいち張り切らなくてもいい。そんな人は、はじめから排除して(会場に)入れないようにしないといけない」とも指摘。一方で「マスコミに罪をなすりつけるような、ひきょうなまねはしてはいけない。間違ったことを言う人の資質の問題だ」とも述べた。野党は「看過できない発言は、報道するのがマスコミの使命だ」(共産党の小池晃書記局長)と、二階氏への批判も強めている。

<4月の安倍政権不祥事あれこれ>(肩書は当時)

 ▼4日 今村氏が定例会見で、原発事故の自主避難者の帰還について「本人の責任」と発言。質問者に「出て行きなさい」と激高。

 ▼6日 今村氏が衆院震災復興特別委員会で、「非常にまずかった」と定例会見の発言を謝罪。撤回には応じず。

 ▼7日 今村氏が定例会見で、4日の発言を撤回。

 ▼8日 安倍首相が今村氏とともに福島県を訪れ、今村氏の発言を陳謝。

 ▼16日 山本幸三地方創生相が、観光客への対応に関し「いちばんのがんは学芸員といわれる人たち。一掃しなければ」と発言。

 ▼17日 山本氏が発言を撤回して謝罪。

 ▼18日 中川俊直・経産政務官が、女性問題の週刊誌報道が出ることを理由に、政務官を辞任。

 ▼20日 「週刊新潮」が、中川氏の不倫交際トラブルを報道。

 ▼21日 中川氏が自民党に離党届を提出、党が受理。

 ▼25日 今村氏が「東北だからよかった」と発言、発言後に辞意固める。

 ▼26日 今村氏が復興相辞任。